2014 Fiscal Year Research-status Report
ブタ脱細胞化小腸骨格と小腸オーガノイドを用いた再生小腸グラフトの開発
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25861164
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
日比 泰造 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10338072)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小腸グラフト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は臓器の脱細胞化技術を用いて作成したブタ由来の小腸スキャフォールドに、小腸上皮幹細胞による作成に成功した小腸オーガノイドおよび血管内皮細胞を生着させ、小腸の消化・吸収機能を特徴づける「小腸壁における電解質・糖・ビタミン・アミノ酸の能動的輸送を行う」小腸グラフトを開発し、これを生体内で動脈・静脈と吻合し生着させることで、小腸不全に陥り小腸移植を必要とする小児・成人患者の新たな治療法となることを目的とする。 ブタ肝臓ですでに確立した脱細胞化法(Yagi H, Cell Transplant 2012)を用いて、初年度はまずブタ小腸の脱細胞化を繰り返し行い、安定して脱細胞化した組織が得られるよう手技の安定化を図った。 その後、内部構造の詳細についてDNA解析や免疫染色、電子顕微鏡での観察などの手法で評価していくことを当初は考えていたが、大動物で手技を繰り返すことが人的・財政的な面からも困難であるため、その前段階としてマウスおよびラットの小腸脱細胞化を行うことに計画を切り替えた。現在は脱細胞化した小腸組織への細胞充填を試みている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ブタ小腸の脱細胞化の手技の安定化に時間を要し、得られた組織の不均一性が問題となることから、対象をまずマウスに切り替えた。グラフト腸管および血管の確保を行ってヘパリン化生食による灌流は可能であったが、静脈が脆弱であることからその後の細胞充填の際の脱細胞化小腸組織の耐用性に不安があり、最終的にラットに変更した。現時点で手技は安定しており、今後の細胞充填に十分耐え得ると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
脱細胞化小腸組織に充填する細胞であるが、当初使用予定であったLgr5+の粘膜細胞の他に、腸管の筋層・神経になりうる細胞として歯髄幹細胞の存在を知った。歯髄幹細胞はDental Pulp Stem cell(DPSC) もしくは、特にヒトの若年者の乳歯から得られる場合にはstem cells from human exfoliated deciduous teeth (SHED)とも呼ばれ、腸管神経と起源を同じく迷走神経付近から発生する頭頸部に向かう神経堤細胞である。増殖能に富み、神経、筋、グリア細胞への分化を示すため、腸管由来神経堤細胞同様に機能することが期待される。さらに、歯髄は間葉系幹細胞を含み(Shi S, Orthod Craniofac Res 2005)、HLA発現が乏しく、免疫寛容も高く、異種移植が可能であることがマウスの実験で知られている。ヒト細胞においても様々な転写因子を発現することから、この細胞の充填も並行して行い、得られた組織の微小構造を免疫染色などで詳細に評価する予定である。
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Research Products
(2 results)