2014 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌における5-アミノレブリン酸を用いた光力学的診断の有用性に関する研究
Project/Area Number |
25861184
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 剛 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50452389)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 5-アミノレブリン酸 / 光線力学診断 / 胃癌 / 蛍光診断法 |
Outline of Annual Research Achievements |
(背景・目的)胃癌に対する腫瘍の正確な範囲診断、腹膜播種病変の評価は手術適応や術式の決定に重要である。5-アミノレブリン酸 (以下 5-ALA) を利用して、その代謝における腫瘍細胞と正常細胞の違いを利用し、特殊光を照射することで光力学診断を行う方法が報告されている。現在、脳神経外科領域では、悪性神経膠腫の蛍光診断薬として欧州では既に医療承認を受け臨床に使用されている。本研究は、漿膜浸潤を伴う進行胃癌を対象とし、標準検査法である通常光腹腔鏡検査との比較においての5-ALAを用いた光線力学的診断法(ALA-PDD)の有用性、また早期胃癌を対象とした内視鏡的な範囲診断での有用性を示し、胃癌に対する5-アミノレブリン酸を用いた診断方法の有効性を明らかにすることを目的とする。 (成果)大阪大学医学部附属病院臨床研究倫理審査委員会において,2013年6月承認を得(承認番号12388)開始した。2013年7月~2014年9月までに、腹膜播種が疑われた進行胃癌患者12例に対して、審査腹腔鏡検査時に本診断法を実施した。12症例中通常観察において腹膜播種部位を発見した例が5例であったのに対し、光線力学診断を用いた発見例は6例であり,本診断法の上乗せ効果を確認した。有害事象については、CTCAE grade2を超える有害事象は認めなかった。青色光レーザー光源を搭載された次世代型内視鏡システムを用いた内視鏡診断については,癌組織の赤色発色を認めなかった。一方で,切除標本に対しての青色光での赤色発色を認めた点から機器の課題が示唆された。 (今後の展望)胃癌審査腹腔鏡検査時の本薬剤の有用性が本臨床研究で示され,現在薬事承認に向けた医師主導治験を企画準備中となっている。その基礎データとしての本研究は重要な意義を持つ。
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Research Products
(2 results)