2013 Fiscal Year Research-status Report
走査型蛍光X線顕微鏡を用いた肝硬変患者における鉄分布の意義
Project/Area Number |
25861189
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木下 秘我 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (00645210)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射線 |
Research Abstract |
微量金属元素である鉄は、DNA合成、酸素輸送、エネルギー産生のためには必須であるが、過剰の鉄は活性酸素による臓器障害を引き起こします。特にC型肝炎患者の肝臓では鉄蓄積が亢進し、酸化ストレスによる肝細胞障害が惹起されることが判明している。 SPring-8にある走査型蛍光X線顕微鏡を用いて、正常肝の肝小葉内の鉄の分布を測定し2次元マッピングを行ったところ、鉄の分布は一様でなく、中心静脈よりも門脈周囲の濃度が高いことを世界で初めて発見した。さらにC型肝硬変の鉄の分布を測定したところ、正常肝よりも顕著に偽小葉辺縁部分に鉄の濃度が高いことを発見した。この研究内容を第99回日本消化器病学会総会(2013年3月、於鹿児島)のシンポジウムで発表した。 今後は茨城県つくば市にある放射光科学研究施設(PF)にて、肝小葉内の微量金属分布を測定していく予定であるが、特にC型肝炎と同様に鉄の蓄積量が亢進すると言われているNASHに関する研究を行う予定としている。NASHもC型肝炎と同様に鉄が小葉内の辺縁に蓄積する傾向があれば、双方とも酸化ストレスによって小葉辺縁より線維化が起こっていくことが予想される。また、現在のところ酸化ストレスが関与していないとされるB型肝炎においても測定を行い、鉄の分布が前者2つと違うパターンになれば、さらに先程の仮説は信憑性は増すと考える。2014年5月にまず初回の測定を行う予定にしており、そこでの研究結果を第50回日本肝臓学会総会のワークショップに発表する予定にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
つくば市にある放射光科学研究施設(PF)における実験が、施設の事情によって延期になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、本研究は他施設である巨大放射光施設の器具を用いなければ施行できないため、1年間で測定できる時間は非常に限られている。そのため簡便で精度が遜色ない器具の発明が待たれるが現実的には難しく、測定時間を最大限確保できるよう交渉していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでに得られたサンプルを用いて実験を行ってきたため動物に関する予算を使用する事なく行って来たため、予算を次年度へ繰り越す必要性が生じた。 次年度は、マウスに正常肝及び慢性C型肝炎、C型肝硬変患者の組織を用いて同様の検討を行う予定である。
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Research Products
(1 results)