2014 Fiscal Year Annual Research Report
胸腺悪性腫瘍における次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子変異解析
Project/Area Number |
25861246
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
設楽 将之 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60595643)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 胸腺癌 / 遺伝子変異 / 次世代シーケンス / ターゲットシーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
1992年から2013年までに名古屋市立大学病院で手術を施行された胸腺扁平上皮癌12例を対象とした。LifeTechnology社の次世代シーケンサー(Ion PGM sysytem) Ion AmpliSeq Compehensive Cancer Panelによって癌関連409遺伝子に対してターゲットシーケンスを行い、遺伝子変異の網羅的解析をおこなった。症例あたり平均4,881,951塩基のシーケンスを行い、average base coverage depthは311、20× coverageは96.6%、100× coverageは86.3%であった。1例あたり平均で294遺伝子から1039の variantsが検出された。Ingenuity Variant Analysis、正常組織のシーケンス結果、SHIFT、PolyPhen-2、PROVEANによってフィルタリングを行い、胸腺癌10例から24遺伝子中、25の遺伝子変異が候補遺伝子変異として挙がってきた。解析を行った12例に共通した遺伝子変異はなかったが、個々の症例においてKIT, DDR2, PDGFRA, ROS1, IGF1Rなどのチロシンキナーゼ遺伝子に変異を認めた。KITについてはexon 11の3塩基欠失変異を認め、サンガーシーケンスでも確認した。HRASについてはD119Hの変異を認めた。NF1に関しては、1例はL1068W、1例はE2612*の変異を認めた。KITのexon 11欠失変異は、GISTと胸腺癌において発癌原因遺伝子であることが報告されており、分子標的薬であるImatinibの感受性との関連も報告されている。また、肺扁平上皮癌において分子標的薬のターゲットの1つとされているDDR2のsplice site loss、頭頸部の扁平上皮癌で報告されているHRASといった遺伝子変異も同定した。複数の症例に共通する発癌候補遺伝子の変異は認めなかったことから、胸腺扁平上皮癌はheterogeneousな腫瘍であることが示唆された。
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