2015 Fiscal Year Annual Research Report
マトリックス細胞蛋白に着目したくも膜下出血後早期脳損傷の病態解明
Project/Area Number |
25861272
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
芝 真人 三重大学, 医学部附属病院, 診療等従事者 (30595682)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | くも膜下出血 / 早期脳損傷 / アポトーシス / テネイシンC / MAPキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
くも膜下出血の急性期モデルとして確立しているラット及びマウスの血管内穿通モデルを作成し、近年予後不良の原因として注目されている早期脳損傷の病態におけるマトリセルラー蛋白テネイシンCの役割を明らかにするため以下の研究を実施した。各治療群はランダムにグループ分けを行い、くも膜下出血の重症度、神経学的所見、蛋白の発現変化(Western blot法)及び免疫組織学的所見などの評価は盲検的に実施した。1年目に既にくも膜下出血後の脳において神経細胞のアポトーシスが誘導され、それに伴いテネイシンCの発現が増加していることを明らかにした。2年目は1年目の研究計画の残りを完遂し、さらにイマチニブの早期脳損傷抑制効果が真にテネイシンCの抑制によるものかを確認するために、テネイシンC蛋白を精製し、イマチニブにより早期脳損傷が抑制された状態のくも膜下出血ラットの髄腔内に投与した。その結果、イマチニブによる早期脳損傷の抑制効果は阻害された。これらの結果はくも膜下出血後の早期脳損傷、特に神経細胞のアポトーシス発生にテネイシンCが重要な役割を果たすという我々の仮説を支持するものである。さらに、免疫組織学的検討により、MAPキナーゼが細胞種類別に異なる発現をしていることが明らかとなった。最終年度は各種阻害薬を用いて検討を行い、テネイシンCの発現抑制によりMAPキナーゼを介したMMP-9の誘導が抑制され、早期脳損傷が軽減することが分かった。以上からテネイシンCはくも膜下出血後早期脳損傷の発現において極めて重要な役割を果たしていることが示され、今後新薬開発の新たなターゲットとなりうると考えられた。
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