2013 Fiscal Year Research-status Report
ヨード担持チタン製抗菌インプラントの骨伝導能・骨誘導能の解析
Project/Area Number |
25861300
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 仁志 金沢大学, 大学病院, 助教 (30584841)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 抗菌インプラント / ヨード担持チタン / 骨伝導能 / 骨誘導能 / 力学試験 / 組織学的検査 |
Research Abstract |
当科で開発した抗菌作用を有するヨード担持チタン製インプラントの骨伝導能と骨誘導能の解析を行い、その作用機序を解明するための動物実験を行った。 全身麻酔下で、成犬の胸腰椎の椎体にチタン(Ti)製、表面を陽極酸化処理したチタン(AO-Ti)製、表面を陽極酸化処理し、ポビドンヨードを封入したチタン(Ti-I2)製のスクリューを刺入し、各々の引き抜き強度を測定した。スクリューの刺入位置不良や試験中の検体破損のため、サンプル数は予定よりも少なくなった。Ti群ではスクリュー刺入後4週で取り出した検体が3椎体、8週で取り出した検体が10椎体あった。AO-Ti群では4週で取り出した検体が6椎体、8週で取り出した検体が4椎体だった。Ti-I2群では4週で取り出した検体が6椎体、8週で取り出した検体が4椎体だった。引き抜き強度は、Ti群では4週の検体で平均1080N(884-1411)、8週の検体で平均1098N(842-1432)だった。AO-Ti群では4週の検体で平均1080 N (845 - 1354)、8週の検体で平均1007 N (887-1220)だった。Ti-I2群では4週の検体で平均1166 N (942 - 1465)、8週の検体で平均1127 N (969-1341)だった。4週、8週いずれの検体においても3群間に有意な差は認めなかった。屠殺直後にスクリューを刺入したT12,13の引き抜き強度や骨密度も各群で有意差はなかった。 組織学的検査は、定量的な評価はできていないが、4週の検体においてAO-Ti群とTi-I2群では、Ti群よりも類骨や新生骨が多い傾向にあった。 骨伝導能の指標として、screw全長に対し骨が直接接している部分の割合を算出すると、Ti群では4週の検体で平均56.9%、8週の検体で平均57.7%だった。AO-Ti群では4週の検体で平均57.9%、8週の検体で平均66.7%だった。Ti-I2群では4週の検体で平均61.6%、8週の検体で平均62.1%だった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
力学試験において3群間で有意な差は認めなかったが、組織学的検査で骨新生はTi群よりもAO-Ti群やTi-I2群のほうが高い傾向が認められたため。また、骨伝導能の定量的な評価においても、Ti群よりもAO-Ti群やTi-I2群のほうが高い傾向が認められたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
力学試験については、計測をスクリューの引き抜き強度からトルクに変更するなどして、スクリューのピッチによる影響をなくすことを考えている。前年度の実験で骨伝導能については定量的に評価することが可能であった。今後は骨新生について、スクリュー周囲の骨形成関連の反応(新生骨の形成や移植骨の吸収、血管の増生など)を示す領域の面積を計測する事など、定量的な評価が必要であると思われる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は効率的な予算の執行を行った。購入予定であった実験用成犬の一次的な在庫不足により次年度に繰り越しとなったため、118,512円が未使用額となった。 今後、さらに検体数を増やし、力学的、組織学的評価を行う予定である。研究費は必要な実験動物の購入、動物実験用の薬剤(プロポフォール、ミオブロック、ドルミカムなど)の購入、硬組織切片の作成やVillanueva bone染色の費用などに使用する予定である。また、国内外の学会参加費や論文の投稿費にも使用予定である。
|