2014 Fiscal Year Annual Research Report
静脈投与したリドカインの脊髄における鎮痛機序の解明
Project/Area Number |
25861365
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
倉部 美起 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30635579)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | in vivoパッチクランプ法 / リドカイン / 脊髄後角 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究の目的:リドカインは静脈投与によって神経障害性痛や術後痛を抑制することが知られているが、その作用機序については未だ明らかになっていない。障害神経からの異常発火を抑制する可能性や、下行性疼痛抑制系への関与も示唆されているが、生理的条件下におけるシナプス・細胞レベルでの解析は進んでいない。そこでin vivoパッチクランプ法を用いて正常ラット脊髄後角ニューロンにおけるリドカインの作用機序の解明を試みた。 2. 研究結果:リドカイン静脈投与により濃度依存性に自発性の興奮性シナプス後電流(EPSC)の頻度のみが減少したが、振幅に変化は認めなかった。テトロドトキシン存在下でも同様にEPSCの頻度のみが減少した。この作用が脊髄ニューロンへの直接作用によるものかをどうかを調べるためにリドカインを脊髄表面へ灌流投与したが、EPSCの変化は認めなかった。抑制性シナプス後電流への影響を調べたところ、頻度・振幅ともに変化はしなかった。ラットの後肢にピンチ刺激を加えevoked EPSCを観察し、リドカインを静脈投与したところ、濃度依存性にevoked EPSCが抑制された。 3. 研究結果の意義:今回の実験結果から静脈投与したリドカインは、脊髄後角ニューロンにおいてシナプス前終末からのグルタミン酸の放出を抑制することが示された。また、少なくとも正常ラットにおいてはリドカインの下行性疼痛抑制系への関与は認められなかった。つまり興奮性シナプス伝達を抑制した結果、脳への痛覚伝達が抑制され、鎮痛作用を発揮すると考えられた。静脈投与したリドカインが、局所投与に比べて著しく低い濃度で中枢神経に作用するという今回の結果は、リドカインの新たな作用部位の存在を示唆するものと考えられた。
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Research Products
(2 results)