2014 Fiscal Year Research-status Report
低酸素誘導性因子HIFの活性化による肺胞上皮細胞保護効果の検討
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25861392
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
高木 俊介 横浜市立大学, 医学部, 講師 (90644823)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肺傷害 / アポトーシス / 低酸素誘導性因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続きin vitroでの細胞培養実験においてPHD阻害薬DMOGの抗アポトーシス効果を検討するとともに,動物にFasリガンドを投与した肺傷害モデルにおいてもDMOGの抗アポトーシス効果を検討した. in vitroでは昨年度用いていたMLE15細胞株では細胞膜表面のFasの発現量が少なかったため,MLE12細胞株に細胞を切り替えて実験を行った.MLE12細胞株においても1mM濃度のDMOGがFasリガンドによるアポトーシスを抑制することをCaspase3/7活性,細胞生存率の2つの面から確かめた.またその背景メカニズムとして,細胞全体及び細胞膜のFasの発現をELISA法及びフローサイトメトリーにて測定した所,DMOGの投与によりFasの発現が低下することが確かめられた.Fasの減少は特に膜表面の発現において強く認められた. 動物モデルにおいてはFasリガンド気管投与前から後にかけてDMOG8mg/bodyを計3回腹腔内投与することで,肺ホモジネート中のCaspase3/7活性が低下すること,またTUNNEL陽性細胞の増加を抑制できることを確かめた.さらに肺胞血管バリアーの指標であるBAL中の高分子(IgM)増加の抑制を認め,DMOGによる抗アポトーシス効果が肺水腫の低減につながる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,PHD阻害薬DMOGによる抗アポトーシス効果を細胞実験,動物実験両面から示すことが出来ている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,PHD阻害からFasの発現低下,アポトーシス抑制に至るシグナルカスケードについて詳細な検討を行う.HIF1またはHIF2への依存性,PHD1-3への依存性を中心に,阻害剤及びsiRNAを用いた検討を行う予定である.
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Causes of Carryover |
年度当初予定していた,抗アポトーシス作用のHIF1への依存性について検討するためのconstitutive active form HIF-1αをoverexpressionさせる実験について,予備的検討を行ったものの下流遺伝子の発現増加があまり見られず,一旦休止することとしたため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度はまず,HIF-1の阻害剤を用いるアプローチを行うとともに,consititutive active formのHIF-1αのoverexpression系がきちんと働くようにトラブルシュートを行う予定である.生じた次年度使用額はその際の阻害剤の購入,ベクター構築のための費用として用いる予定である.
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