2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25861472
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高村 将司 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40648565)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / 好中球 / 好中球除去 / プロバイオティクス / IL-4 / 3β-ヒドロキシステロイド脱水酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
好中球除去抗体Gr-1を精製し腹腔内投与にて末梢血における好中球の除去効果を確認した。また子宮内膜症モデルマウスにおける病巣への好中球浸潤の抑制を特異的抗体NIMP-R14にて確認した。好中球を病巣形成前から除去した群では、病巣形成後やコントロール群に比べ、個数、総重量を抑制した。腹腔内貯留液中の炎症性サイトカインや増殖因子などで有意な変化した因子を同定できないものの好中球の遊走の抑制が初期病変の形成に重要であることは示すことができ、好中球の遊走を促進するケモカインの抑制が子宮内膜症予防の治療標的になりえると考えた。 プロバイオティクスを子宮内膜症モデルマウスに経口投与したところ、病巣形成前のプロバイオティクス投与は、病変形成に影響を与えなかった。一方で病巣形成後のプロバイオティクス投与は病変の形成を抑制した。プロバイオティクスは性周期への影響を与えなかった。プロバイオティクス投与中マウスの腹腔内貯留液中の免疫細胞の数をフローサイトメトリー法にて解析し、好中球数のみの減少を確認した。腹腔内貯留液のサイトカイン、増殖因子濃度はIL-6、MIP2α、MCP1、VEGFなど、有意差はないもののプロバイオティクス投与群で減少傾向を示し、炎症の抑制が病変の機序と関連することが示唆された。 子宮内膜症がエストロゲン依存性疾患であることはよく知られているが、炎症とエストロゲンとの関連に関して不明な点が多い。摘出したヒト卵巣子宮内膜症より得られた間質細胞に対して、IL-4刺激したところ、3β-ヒドロキシステロイド脱水酵素(HSD3B2)の発現を亢進させた。この亢進作用はJAK3阻害剤で阻害された。またIL-4とPGE2との共刺激で相乗的にHSD3B2の発現を亢進し、エストロン産生を亢進させた。これは、局所の炎症がエストロゲン産生を亢進させるメカニズムの一つであると推測された。
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