2014 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣がんバイオマーカーとしての葉酸受容体アルファの有用性とその応用に関する研究
Project/Area Number |
25861504
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
黒崎 亮 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (10620841)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 葉酸受容体アルファ / バイオマーカー / 卵巣がん / 予後 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景・目的】葉酸受容体アルファ(以下FRA)は細胞膜表面上に発現する糖タンパクで、DNAの合成や伸長に関与していると考えられている。FRAは卵巣癌の約80%に発現が認められると報告される一方、正常組織や良性疾患組織ではほとんど発現が認められていない。また、その発現レベルは悪性度に相関し、治療標的としても有望視されている。本研究ではFRAがプロテアーゼにより可溶型(遊離型)となって血中に放出されることを利用して定量を行い、非侵襲的な卵巣癌の診断補助や、FRA標的治療における治療選択あるいはモニタリングのバイオマーカーとして応用できるかを検討する。 【方法・結果】 2010年10月から2013年3月の間に埼玉医大国際医療センターにて卵巣腫瘍と診断され手術が施行された231名に対して、術前血清を利用してELISA法により可溶型FRAを定量化し、臨床病理学的因子と比較検討した。腫瘍におけるFRAの発現は免疫組織化学的染色を行い、可溶型FRAとの関連性についても検討した。 血中可溶型FRAは卵巣癌患者群において、境界悪性腫瘍群、良性群、および転移性腫瘍群と比較して有意に上昇していた(p<.0001)。臨床進行期については、進行期癌で有意に上昇を認めた(p<.0001)。ROC解析を行ったところ、AUC=0.81で、Youden Indexは0.66であった。cut off値を算出したところ、感度60.2%、特異度98.8%、陽性反応的中率98.7%と、CA-125と比較してほぼ同等な感度にも関わらず、特異度が優れていた。また、腫瘍におけるFRAの発現が強いものほど可溶型FRAが高値を示す傾向にあった。 【結論】卵巣癌患者において血中可溶型FRAは、良性・境界悪性腫瘍患者、転移性腫瘍患者に比して有意に高値であり、CA-125よりも特異性の高い診断マーカーとして有用である可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)