2014 Fiscal Year Research-status Report
婦人科癌におけるスタチン投与が腫瘍局所免疫に与える影響
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25861507
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西尾 咲子 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (00570011)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / スタチン / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度で、Simvastatinがヒト卵巣明細胞癌の免疫抑制性サイトカイン産生量を低下させる可能性を示したが、さらに他のstatin系の薬剤を用いて検証した。その結果、Pitavastatinも、同様にSTAT-3およびNF-kB活性の阻害によって、免疫抑制性サイトカインの産生を低下させることが示された。次に、statin系薬剤が、ヒト卵巣明細胞癌からの免疫抑制性サイトカイン産生を低下させることで、担癌生体の免疫抑制環境を改善できるかを、動物モデルを構築して検証した。ヒト卵巣明細胞腺癌細胞株を、Nudeマウスに皮下移植し、約三週間後に、脾臓、リンパ節、腫瘍中の樹状細胞のT細胞活性能を評価すると、担癌マウスでは、非担癌マウスに比べて、T細胞活性能が低下していたが、Simvastatinを投与することで、部分的に改善した。さらに、腫瘍抗原特異的T細胞応答に対する影響も評価した。免疫系が完全である近交系マウスに、マウス癌細胞株を移植し、Simvastatinを約三週間投与すると、所属リンパ節での腫瘍抗原特異的なCD8陽性T細胞誘導が上昇することが分かった。以上より、statin系薬剤は、in vivoで免疫抑制的環境を改善し、抗腫瘍T細胞応答を増強できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に立案した計画に沿って卵巣癌において、in vitro、in vivoともにスタチンが免疫抑制環境の解除に有効であることを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、スタチンを抗PD-1抗体療法などの免疫療法との併用することで、抗腫瘍効果を高められるかを検討し、臨床応用に向けた基礎データを集積する。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた、サイトカン測定キットの購入費が少なく済んだため。また学会参加費、旅費が不要であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年、抗PD-1抗体のオプチーボが保険収載され、臨床応用が開始されている。このような状況から本年度はスタチンとPD-1抗体の併用実験を計画しており、薬剤購入費として使用する。
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