2013 Fiscal Year Research-status Report
ボツリヌス毒素・ミラーバイオフィードバック療法のfMRIによる検討
Project/Area Number |
25861565
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高橋 美香 徳島大学, 大学病院, 診療支援医師 (90569104)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | fMRI / ミラーバイオフィードバック療法 / ボツリヌス毒素 / 病的共同運動 |
Research Abstract |
末梢性顔面神経麻痺の後遺症である病的共同運動は、再生神経の過誤支配により発症し、口運動時の瞼裂狭小や瞬目時の口や頸部の共同運動を引き起こす。我々は、病的共同運動の予防のために、鏡で患側の眼を見ながら瞼裂の狭小が起こらないように口運動をさせるミラーバイオフィードバック療法を開発し、その効果を示してきた。しかし、発症した病的共同運動の治療は困難であるとされている。そこで我々は、最初にボツリヌス毒素を1回だけ局所投与して一時的に病的共同運動を軽減させ、引き続きミラーバイオフィードバック療法を施行させることににより、発症した病的共同運動の治療を行っている。その効果は末梢での顔面神経の過誤支配の改善ではなく、中枢における可逆的変化と考えている。そして、fMRIを用いることで大脳皮質運動野の賦活部位を検討することにより、ボツリヌス毒素・ミラーバイオフィードバック療法の治療効果のメカニズムを明らかにしようとしている。健常人ではfMRIにおいて、閉眼運動、口尖らし運動で賦活される大脳皮質運動野はそれぞれ分離していた。しかし、病的共同運動を発症している症例では閉眼運動、口尖らし運動で賦活される大脳皮質運動野に重なりがあることがわかった。また、病的共同運動に対してボツリヌス毒素・ミラーバイオフィードバック療法を行った症例では治療前に重なっていた賦活部位が減少し、両部位が分離することがわかった。この結果より、病的共同運動発症時には脳が目と口を一つの運動ユニットとして認識しているが、ボツリヌス毒素により一時的に病的共同運動が軽快し、ミラーバイオフィードバック療法により正しい感覚入力が入ることにより眼運動野と口運動野が分離するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究対象は、顔面神経麻痺発症後1年以上経過した時点で病的共同運動を認めている症例であった。しかし、病的共同運動発症予防目的でのミラーバイオフィードバック療法の効果もあり、当院で初期治療を施行した症例で1年後に強い病的共同運動の発症を認めている症例が少ない。また、高度の病的共同運動を認める患者は他県在住者が多いため、時間的制限がありfMRIに協力できる症例が少なく症例数の確保が難しい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、他院で初期治療を施行後、比較的早期に病的共同運動を発症してきた症例に対しても発症後1年を待たずにボツリヌス毒素・ミラーバイオフィードバック療法を施行することにより症例数の増加が期待される。また、早期にボツリヌス毒素・ミラーバイオフィードバック療法を施行することによる病的共同運動の治療効果が期待され、早期治療と大脳皮質運動野レベルでの賦活部位の関連を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
発症後1年が経過した病的共同運動の症例数が少なかったため、予定していた解析段階まで至らなかったため。 適応を拡大し症例数を増やすことで、今後予定している解析が可能になった際にデータ解析に必要な備品やソフト購入する。
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