2013 Fiscal Year Research-status Report
脂肪由来幹細胞の免疫制御作用を用いた、静脈性潰瘍の新しい治療方法の開発
Project/Area Number |
25861684
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高成 啓介 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (80378190)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 慢性静脈不全症 / 静脈性潰瘍 / 脂肪由来幹細胞 / 免疫制御作用 / 難治性潰瘍 |
Research Abstract |
平成25年度はまず、ラット慢性静脈不全(CVI)モデルを再現することを試みた。Lalkaらの報告に記載されている通り下大、総腸骨、大腿静脈をそれぞれ結紮することにより約3週間程度、下肢静脈圧の上昇が見られた(2週間時点ではCVI: 11.8 vs control: 1.72 mmHg、p < 0.05)。組織学的には皮膚や皮下組織に大きな違いは認めず、静脈圧上昇のみでは自然に潰瘍を形成することはないと考えられた。そこで、このラットCVIモデルを用いてCVI作成後7日後に皮膚欠損を下肢に作成することにより、静脈性潰瘍モデルとすることができるかどうかを検討した。皮膚欠損のみに対しCVI+皮膚欠損では創傷治癒の遷延が起こることが示された(10日目の創面積14.1±2.0 vs 8.0±2.0 %、14日目の創面積 2.7±0.8 vs 1.0 ± 0.5 %)また、治癒した瘢痕の組織学的評価ではCVI群において瘢痕コラーゲン等の膠原繊維の沈着が減少し、炎症細胞浸潤が多く、小血栓の形成が多く見られた。しかし、本研究の目的である静脈性潰瘍に対する脂肪由来幹細胞の治癒効果を見るためにはCVIによるさらに大きな創傷治癒遅延が必要であると考え、CVI作成時に炎症惹起物質であるブラジキニン(BK)を足底に投与することにより、より重篤なCVIを作成することを試みた。これにより、CVIのみでは見られなかった一過性の足底の腫脹や疼痛閾値の低下が見られた。 平成25年度の研究では、ラットCVIモデルの下肢に皮膚欠損を作成することにより創傷治癒遅延が見られることが観察され、静脈性潰瘍モデルとすることができることが示された。また、これをより重篤なモデルにするために炎症惹起物質を足底に投与することにより臨床でも見られる下肢の腫脹や疼痛閾値の低下が観察され、より難治性静脈潰瘍として臨床に即したモデルが作成されたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラット慢性静脈不全(CVI)モデルに皮膚欠損を加えることにより、静脈性潰瘍モデルとするこができることが示されたが、脂肪由来幹細胞の治療効果を観察するためにより重篤なモデルの作成を試み、コントロール群との差を大きくすることができた。モデルの確立に時間がかかったため予定よりやや遅れた進捗状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回作成された慢性静脈潰瘍モデルを用いて次年以降度は脂肪由来幹細胞の治療効果を見ることを試みる。また、同時に脂肪由来幹細胞の細胞特性をin vitroで見る。さらに、静脈性潰瘍患者より採取した単核球とヒト脂肪由来幹細胞を共培養して脂肪由来幹細胞が免疫系細胞に与える影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物モデル作成に時間がかかったことにより脂肪由来幹細胞移植実験が開始していないため。 今年度の遅延分を次年度で行なう。脂肪由来幹細胞の移植実験を行なうため、これに必要な培養機器、試薬等の消耗品を購入する予定である。
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Research Products
(1 results)