2014 Fiscal Year Research-status Report
ナノバブルを応用した次世代根管洗浄システムが開拓する生体に優しい根管治療法
Project/Area Number |
25861788
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
辺見 浩一 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (80586389)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノバブル / 感染根管 / 根管洗浄 / 細菌排除 / 根管内無菌化 / Enterococcus Faecalis / 難治性根尖性歯周炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
根管治療は根管内の感染を排除することが目的であるが、複雑な形態をした根管内から感染した細菌を除去するのは容易ではない。現在、強力な殺菌効果を有する次亜塩素酸ナトリウム溶液を5-6%の濃度で使用し、根管内を洗浄しているが確実に根管内を殺菌できるわけではない。さらに、5-6%といった高濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液は根尖孔外に漏出すると組織を侵襲し、激しい痛みを起こすとともに、血腫を誘発することもある。このような現状を踏まえ、生体侵襲が少なく確実に根管内から細菌を排除するシステムの確立が求められている。ところで、ナノバブルは、ナノサイズのバブルを超音波装置により破壊することにより生じるジェット流により、細胞に微細な穴をあけ、活性物質あるいは遺伝子を細胞に導入する手法で、ドラッグデリバリーの手法として近年注目を浴びている。このナノバブルを根管内の殺菌に応用するのが本研究の目的である。大腸菌および200ulのピペットチップを用いた簡易根管模型モデルに、ナノバブル溶液を添加した1%の次亜塩素酸ナトリウム溶液を入れ、超音波振動を加えたところ、1%次亜塩素酸ナトリウム溶液と比較して有意に細菌数の減少が確認された。なお、1%の次亜塩素酸ナトリウム溶液を浸漬したろ紙を、ラット舌上に10分放置しても潰瘍といった侵襲はほとんど惹起されなかった。さらに、ヒト抜去歯にEnterococcus Faecalis(代表的な感染根管内に認められる細菌)を播種し、1%次亜塩素酸ナトリウム溶液とナノバブル溶液を応用したところ、走査電子顕微鏡において明らかに細菌数の減少が認められた。低濃度次亜塩素酸ナトリウム溶液とナノバブルを用いた生体に優しい根管内洗浄法を確立し、それを臨床において使用できるようにするため、生体安全性等の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抜去歯における評価まで進んでいるが、低濃度次亜塩素酸ナトリウム以外の洗浄液を用いた評価が十分ではない。またラットあるいはマウスといった実験動物を用いた評価ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
グルクロン酸クロルヘキシジンあるいは種々の抗生物質とナノバブルの併用を検討する。ラットあるいはマウスにおけるin vivoでの実験系を確立し、ナノバブルの安全性および細菌排除効果について検討する。
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Causes of Carryover |
ナノバブル洗浄液について、臨床において使用できる成分に変更をすることを検討していたが、具体的に成分の候補を十分に絞ることができず、研究の遂行が不十分であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
GMP準拠の物質で、ナノバブルとして臨床応用可能なものに絞り込み早急に研究を行う。限られた期間内に目標とする結果を出せるよう、効率的な研究を行うことができるよう、十分配慮する。
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