水溶性フラーレン／ユビキノンを用いた変形性関節症の新規局所療法の開発

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25861989
• Research Institution: Fukuoka University
• Principal Investigator: 大谷 泰志 福岡大学, 医学部, 助教 (90609504)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: フラーレン / ユビキノン / 変形性関節症

Outline of Annual Research Achievements

フラーレンの持つ抗酸化能はフリーラジカルによる炎症反応の抑制に有効であると考えられる。そのため、骨関節炎においてもその応用が期待できる。一方で、細胞や組織、生体への為害性に関しての問題は解決されなければならない。
水溶性フラーレンは、その修飾体によって様々な性質を付与することができ、より有効で為害性の少ない、医学的に生体に用いることのできる物質として活用できる可能性がある。
変形性顎関節炎は、持続的な負荷により関節腔内および関節に虚血-再灌流現象がおこり、その際に発生するフリーラジカルが直接的、またサイトカインネットワークを介し間接的に関節破壊を引き起こしているとされる。顎関節にかぎらず変形性関節症は難治性で対症療法が中心となる悩ましい疾患である。
フリーラジカルをターゲットとした変形性関節症の治療法の開発により、国民の生活の質の維持向上をはかることができる。特に超高齢社会においては、加齢とともに慢性的に退行性変化を進行させる変形性関節症の予防と治療は重要である。
水溶性フラーレンを用いた抗酸化作用による炎症反応の抑制は、細胞実験としては効果が確認された。一方で、生体組織、関節腔における作用と代謝について検討の要がある。
現在用いている水溶性フラーレンのみならず、修飾体による有効性の向上や為害性の抑制は重要であると考えている。特に高濃度における正常細胞に対する影響を確認しなければならない。同時に、抗酸化能発現後の平衡維持のため、ユビキノンを応用することで慢性変化の抑制を図ることを検討している。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

水溶性フラーレンの構造に対し修飾体を導入し、より適した構造体を得るための策定に時間を要している。細胞培養下での実験を繰り返す必要があり、次段階での組織内での実験をより効率的に行うためには如何ともし難い段階で、達成度としては遅れているといえるる。しかしながら生体組織への応用を前提とした研究であるため、この段階で時間を用いざるをえないと考えている。

Strategy for Future Research Activity

現在用いている水溶性フラーレンは安定した物質であるので、これをもとに還元型Coqをはじめとするユビキノンを調整する。正常細胞に対する為害性を細胞培養実験で確認のうえで、動物実験へと移行する予定である。