2013 Fiscal Year Research-status Report
放射線療法を受ける乳がん患者のセルフケア行動を促進するケアプログラムの開発
Project/Area Number |
25862174
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kansai University of Social Welfare |
Principal Investigator |
堀 理江 関西福祉大学, 看護学部, 講師 (20550411)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | がん看護 / 放射線療法 / 乳がん / セルフケア |
Research Abstract |
本研究の目的は、放射線療法を受ける乳がん患者の有害事象による苦痛を軽減し、セルフケア行動を促進するためのケアプログラムを開発することである。 本年度は、放射線療法を受ける乳がん患者の有害事象を把握し、ケアプログラム試案を作成することを目標とした。対象者は、がん診療連携拠点病院で乳がんの乳房切除術を受けた後に放射線療法を受ける患者で、病院から研究対象として可能な方を推薦していただき、研究への同意の得られた方20名である。同意の得られた対象は、全て女性(平均年53.1歳。36-75歳)であり、6名がホルモン療法を、5名が化学療法を併用していた。データ収集は、放射線療法前、中、後にCancer Fatigue Scale、MD Anderson Symptom Inventory、CESDの質問紙を用いたインタビューを実施し、対象に毎日セルフチェックノートを記入するよう依頼した。結果は、対象者の倦怠感は放射線療法中にはやや増強する傾向にあったが、日常生活に支障を来すほどではなかった。しかし、放射線療法を完遂するために、日々の通院、家事を調整しながら、前向きな気持ちを維持できるよう調整している姿が明らかになり、目には見えない有害事象を家族や職場の同僚に理解してもらったり、協力を求めたりしながら生活していることが窺えた。放射線療法を受ける乳がん患者の有害事象による苦痛を軽減し、セルフケア行動を促進するためには、前向きな気持ちを維持できるよう家族や重要他者の支援を得ることの必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れていると評価した理由は、平成25年度に予定していた「放射線療法を受ける乳がん患者のセルフケアを促進するケアプログラム試案」の作成のための準備は順調に進んだが、試案作成は途中段階であるからである。対象者は25~30回の照射を継続して実施しており、1人が治療完遂するまで約1か月半を要する。休日やお正月などの大型休暇を挟むと、治療完遂までに要する期間がさらに長くなり、データ収集に多くの時間を費やしたことが原因の一つである。現在は、データを分析途中ではあるが、乳がん患者のセルフケア行動促進のためには、前向きな気持ちを維持できるよう家族や重要他者の支援を得ることの必要性が示唆されたため、早期にプログラム試案を作成する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、研究を推進する予定である。まず、平成25年度のデータ分析を進め、プログラム試案を完成させる。平成26年度はプログラム試案の妥当性を検証するために、専門家に妥当性を検討してもらい、放射線療法を受ける乳がん患者には試案を実施する。ただし、研究実施施設の放射線照射装置入れ替えの時期に入るため、プログラム試案の実施は当初予定していた20名より少なくなる可能性がある。少ない人数でも試案実施の評価を確実に行い、試案の妥当性が確認される人数に達するまでは試案を実施する。試案実施評価の方法としては、平成25年度に用いたCancer Fatigue Scale、MD Anderson Symptom Inventory、CESDの質問紙を用いた面接をし、試案を実施したことによる、身体的・精神的な変化があったかどうかについて面接を行う。面接の結果を分析し、試案を修正してプログラムを完成させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度繰越金2966円は誤差の範囲であり、H26年度の大きな研究計画の変更はない。 当初の計画通り、研究費を使用する予定である。 これから作成するプログラム試案実施評価のための面接を行う。効率的に調査を実施するために、テープ起こしは業者委託する予定であり、業者委託のための予算を計上する。国内旅費は、面接の実施にあたって必要とされる旅費、専門的知識を提供していただく場合の旅費として使用する。設備備品費はケアプログラム試案を製本するために使用し、物品費は、印刷のためのインク、用紙に使用する。また、研究成果は国内外の関連学会で発表、国内の学会誌に投稿する予定であるため、投稿のための通信費、別刷り代を使用する。また、国際学会では発表は行わないが、日本と比較して放射線治療患者が圧倒的に多いアメリカでの学会に参加し、放射線治療の実態把握を行うために、海外旅費を使用する予定である。
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