2014 Fiscal Year Research-status Report
医療型障害児入所施設における被虐待児の地域移行・自立支援に関する研究
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25862183
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大橋 麗子 岐阜大学, 医学部, 助教 (90612614)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 虐待 / 障害児 / 肢体不自由児 / 障害児入所施設 / 社会的養護 / 自立支援 / 治療的養育 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は,前年度からの課題であった支援者側に存在する虐待を受けた子どもへの迷いや困難さについての調査を行った。障害児入所施設で日常的生活支援を行う職員を対象に,虐待を受けた子どもの行動特徴とその支援の基本的態度について研修会を行い,研修会の前,直後,1か月後に,虐待を受けた子どもの支援の際に経験する困難の程度,子どもへの対応方法,職務における態度について,特徴と変化を質問紙調査を実施した。研修会に対する参加者の主観的効果は,“理解が深まる”や“支援に役立つ”については良い結果が得られたが、“支援方法が分かる”には、研修会の内容が具体的実践には不十分であったと考えられた。次段階の課題として, 具体的な事例を検討したり, 具体的な支援の方法について話しあう機会を設定する必要があると考えられた。また, 日常生活支援における専門的視点の不足による,“病棟内で恊働して治療的養育を行うことの難しさ”が存在することも明らかになった。今後は,これらのデータについて学会発表,論文投稿を行っていく予定である。 また,これまでの研究で得られた専門職が認識する“支援が機能している状況”についてのデータの分析を行い,それについて6名の専門職から意見を聴取,議論することにより,専門職が認識する”支援が機能する構造”を明らかにした。これについても,論文投稿を予定している。 子どもを対象にした調査としては,障害児入所施設において治療的養育を実施した1事例の入所中の記録を分析し,治療的養育によって子どもの感情調整機能や内省機能が変化する過程について検討を行った。生活の中で自己調整できることは,虐待を受けた子どもの社会的自立にとっては非常に重要な点である。今回明らかになった子どもの変化過程のモデルは,異なった条件をもつ事例を検討することにも役立つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
支援者側の調査により,専門職が認識する虐待を受けた子どもへの支援が機能する構造について明らかにすることが出来た。これにより,障害児入所施設において支援が機能する状況の全体の構造を理解することが可能となった。しかし,この調査では,子どもの地域移行する時期だけではなく,それの基礎となる全ての支援を対象としたため,子どもの地域移行する時期の支援についての情報が十分に得られなかった。そのため,今年度の結果をもとに,子どもの地域移行する時期に焦点を当てたデータを追加して収集する必要が出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
障害児入所施設に勤務する専門職を対象とし,子どもの地域移行の前後に焦点化した,困難事例と良好事例についてのインタビュー調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
虐待を受けた子どもへの支援が機能する構造を明らかにするために,これまでの資料を活用し,専門職から意見聴取,議論を行った。そのため,対象となる専門職が少人数を対象にすることで行うことができ,その分の旅費や謝金,それに伴う物品費用を繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は,障害児施設に勤務する専門職を対象に,虐待を受けた子どもの地域移行の時期の支援に焦点を当てて,インタビューを行う予定である。そのため,インタビュー調査にかかわる旅費及び謝金,データの妥当性を確保するための専門家に対する確認にかかわる旅費及び謝金,それに伴う物品費用が必要となる予定である。
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Research Products
(2 results)