2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
井上 明日香 筑波大学, 医学医療系, 助教 (80636522)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / TIARP / 好中球 / マクロファージ / 滑膜細胞 / サイトカイン / ケモカイン |
Research Abstract |
TIARPは関節リウマチ(RA)患者および関節炎マウスのマクロファージ、好中球、滑膜細胞に共通に発現している。TIARP遺伝子欠損マウスは加齢に伴い関節炎を自然発症する。この病態の発症機序と進行過程を明らかにし、RAの病態解明および新規治療法の開発に有用な機能部位等を明らかにすることを目的としている。当該年度は、TIARP発現細胞の一つである好中球での役割を明らかにするため、野生型およびTIARP欠損マウス好中球を用いてDNAマイクロアレイを施行した。TIARP欠損好中球ではケモカイン受容体CXCR1/2の過剰な発現をみとめ、さらにそのリガンドであるCXCL2への細胞遊走能が亢進していることを明らかとした。CXCL2はRA病態において滑膜細胞から産生されることから、TIARP欠損滑膜細胞を用いて、TNFα刺激を行った滑膜細胞からのサイトカイン/ケモカイン産生を検討したところ発現亢進するIL-6, CXCL2を見出した。このことからTIARPは好中球、滑膜細胞のCXCR1/2―CXCL2の抑制を介して関節局所への好中球遊走を阻害する働きがあることが明らかとなった。TIARPの抑制機構ならびにその機能部位を明らかにするため、TIARP過剰発現細胞を樹立し、さらに2種類の変異体TIARP導入細胞も同時に樹立した。さらにB6系統TIARP欠損マウスのDBA/1系統への戻し交配は順調に進行し、RA病態に類似性の高いGPI誘導関節炎がTIARP欠損マウスで増悪することを明らかとした。今後は、作製した変異体TIARP発現細胞などを用いてTIARPの機能部位ならびにマクロファージ、好中球、滑膜細胞でのTIARPの炎症抑制機構を明らかにする必要がある。ヒトの解析においては、健常人HC、RA患者、シェーグレン症候群(SS)患者の末梢血単核球中(PBMC)のTIARP発現量を検討した。RA患者群はHC/SS群と比して有意に増加していた。さらに発現細胞がCD14+CD16- 単球であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた好中球を用いたDNAマイクロアレイによる変動遺伝子の同定(CXCR1/2)、そこからリガンドであるCXCL2への細胞遊走能亢進までを明らかにした。またTIARP欠損マウスのDBA/1背景への戻し交配、その後のGPI誘導関節炎の病態解析を実施し、計画予定に即した進捗を達成している。また次年度に向けた解析のために、TIARP変異体導入細胞安定株の作製に既に取り組んでおり、平成26年度の解析に向けた準備も進行している。一方でマクロファージを用いたDNAマイクロアレイ解析からTIARPの機能制御に重要な候補遺伝子を見出す予定をしていたが、変動遺伝子のpick upまでに留まっており、次年度にそれらの機能解析を実施することを計画している。またTIARP変異体導入細胞を用いた機能部位の同定と合わせて、マイクロアレイの結果を踏まえターゲット分子を絞れる可能性があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の結果を基に病態形成を引き起こす免疫細胞の機能異常を明らかにすることを目的とする。現在、作製済みのTIARP変異体導入細胞を利用して病態形成に関与する細胞群の同定、サイトカイン抑制に重要な機能部分の検討を行う。またDBA/1系統TIARP欠損マウスを利用して、GPI誘導関節炎のT細胞、B細胞などの免疫細胞の機能解析をTIARP欠損マウスと野生型マウスを比較して解析を行う。ヒトの解析においては、治療反応性とTIARPの関連性は患者数が十分に得られていないので、引き続き検体を収集しながら、TIARPの一塩基多型(SNP)と病態に関連があるか否かを検討していきたい。
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[Book] リウマチ科2013
Author(s)
井上明日香、松本功、住田孝之
Total Pages
166 (132-137)
Publisher
科学評論社