2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25870113
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中村 靖彦 日本大学, 経済学部, 准教授 (90453977)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経済政策 / 産業組織論 / 労働経済学 / 応用ミクロ経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の3つのテーマに関して取り組んだ:第一に,戦略の内生的決定の問題を種々の経済環境下で考察した.この研究では,企業が市場競争以外の何らかの要素を考慮しなければならいない状況下で,戦略の内生化の問題を分析した.より具体的に言うと,以下の6つのトピックについて戦略の内生化の問題に取り組んだ.(1)各企業内で契約内容に関する交渉が行われる場合,(2)各企業が非対称な需要に直面する場合,(3)公企業が存在する混合寡占の場合,および(4)自社の目的が相対的な利潤である場合,などの環境下で分析した.さらに上記6つの要素を複合的に考察した研究も論文にした.戦略の内生化に関しては,いずれも結果は興味深いものとなった. 第二に取り込んだのは,経営者が自身の活動する市場の需要規模についてある種の誤った情報を内包している,不確実性を伴う場合についての研究である.この研究においては,所有者は自身の目的である利潤の最大化のためには,必ずしも市場需要に関して正しい情報を持っている経営者を雇うべきではない場合があることを示した.この研究は,(1)企業の目的が相対利潤である場合,(2)相手企業の財の需要が上昇すると当該企業の需要も上昇するという,ネットワーク効果を考慮に入れた場合,および(3)混合寡占市場の場合の3通りの場合,について考察した. 第三に,企業の資本量の選択の問題についても考察を継続した.上記の第二および第三の研究テーマに関しても,多くの論文を国際査読付き雑誌に掲載を勝ち取った. 一方で,最終年度にあたる本年度においては,本研究をまとめるための研究にも着手した.当初想定していた数理的モデルに関しては,克服できない困難さが発生したため,視点を変えて,企業間垂直的構造に注目して賃金契約のモデルを組み,現在目下考察中である.本年度中の完成は難しくなってしまったが,継続して取り組む所存である.
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Research Products
(7 results)