2013 Fiscal Year Research-status Report
分野別質保証におけるIRの機能に関する研究―医学領域を対象として
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25870134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡田 聡志 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (00581779)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Institutional Research / 医学教育 / 分野別質保証 / 高等教育 / Outcome-Based Education / Longitudinal Research / 認証評価 / 学生支援 |
Research Abstract |
本研究は、高等教育機関内の教育改善に資するデータの収集・分析・報告を担うIRの機能に着目し、分野別質保証の観点から特にグローバル化対応に直面する医学教育を事例として、機関別質保証と分野別質保証の関係性と、その関係性の中でのIR機能のあり方を明らかにすることである。本年度は、機関レベルのIRの発祥国であり、部局内でのIR機能が確認されるアメリカにおける、医学領域に設置されたIRの実態を中心に検討を実施した。 まず、アメリカのIR学会の機関誌や医学教育関連の代表的な研究誌から、医学教育におけるIRの実践に言及している文献の系統的探索を実施し、先進事例を抽出した。特に医学教育においては教育改善に資する一部のIR機能がLongitudinal Research(縦断研究)として言及され実施されていることを踏まえ、抽出した情報をもとにWeb上に公開された情報から補完を行い、医学教育におけるIR機能の実践例に関するデータベースを構築した。実践の背景には、先進事例における内発的な動機づけとAAMCなどの専門分野の中間組織による強力かつ長期的な推進が影響していることが確認された。その上で、機関別質保証と分野別質保証の多層性を捉えるため、析出された先進事例を中心に、MSCHEなどの機関の認証評価団体の基準とLCMEの医学教育プログラムの認証評価基準の比較検討を実施した。要求水準に差異が確認されるものの、この点はアメリカの機関別認証評価は地域によって認証評価団体が異なるため機関の地域性や、公立・市立、単科・複合などの機関属性の影響も大きいと考えられるため、医学教育の質保証の観点から機関を類型化した上で、より複数のタイプから検討していくことが必要である。今後これらの点を整理することにより知見を精緻化する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の計画通り、文献資料研究を通じたアメリカにおける分野別質保証とIRの関連性の分析、先進事例に関するIRの実態の検討、次年度に向けた国内調査の設計を実施することができた。また、研究に進展が見られたため、前倒し支払い請求を活用し、当初次年度予定していたヨーロッパの医学教育におけるIR機能に関する文献資料調査を一部実施することができた。先進事例を精査する中で、研究をより精緻化するためにそこで得られた知見を分析枠組みに追加・反映する必要がある等の課題も顕在化しているが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度構築・修正した分析枠組みをもとに、ヨーロッパにおける機関別質保証と分野別質保証の関係性、およびその多層性の中のIR機能の実態について研究を実施する。また、そこで得られた知見をもとに、わが国における多層的な質保証への対応の現状にアプローチするため、医学部を設置している大学の学長および医学部長を対象にした質問紙調査を実施し、アメリカ・ヨーロッパ・日本の三点比較の観点から、それぞれの特質について検討する。但し、この種の質問紙調査が各機関・各学部に集中している実態も考慮し、状況によっては、日本で分野別質保証が進められている機関や機関類型から個別事例を抽出し、聞き取り調査を行うなど、よりミクロ的にアプローチすることも視野に入れる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画より進展が見られたため前倒し請求を利用し、次年度予定していたヨーロッパの医学教育におけるIR機能に関する文献資料調査を実施することとしたが、その後アメリカの先進事例の実態を精査していく中で、分析枠組みの修正の必要が出たため、ヨーロッパの医学教育におけるIR機能に関する文献資料調査については一部の予算を執行するに留まった。 次年度も引き続きヨーロッパの医学教育におけるIR機能に関する文献資料調査を実施する予定であり、その文献資料の調達のため、予算の執行を計画している。また、分析枠組みの修正に伴い、アメリカの医学教育におけるIR機能に関する文献資料調査を追加で実施する必要があるため、そのための使用を計画している。
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Research Products
(1 results)