2014 Fiscal Year Research-status Report
分野別質保証におけるIRの機能に関する研究―医学領域を対象として
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25870134
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡田 聡志 千葉大学, 高等教育研究機構, 助教 (00581779)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Institutional Research / 分野別認証評価 / 内部質保証 / 医学教育 / 高等教育 / 機関別認証評価 / イギリス / オランダ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に得られたアメリカにおける機関別質保証と医学教育分野の分野別質保証との関係性、及びその関係性の中における医学領域に設置されたIRの実態に関する知見をベースに、より多角的に実態を捉えるため、ヨーロッパを中心とした他地域における分野別質保証の枠組みについて研究を実施し、本研究の目的である機関と専門分野の双方におけるIR機能のあり方・体系性について検討を行った。 具体的には、IR関連団体が存在するイギリス及びオランダを主な対象としつつ、それらの知見を補完するためにオーストラリア等のオセアニア地域の状況も含めながら、研究を進めた。各国の機関別質保証と分野別質保証の関係性については、政府行政機関、アクレディテーション団体、大学協会、Medical Councilや医療専門職組織等から資料を収集するとともに、各地域の高等教育及び医学教育関連の研究誌から、質保証に関する文献を収集し、分析を行った。 医学教育分野別質保証においては、実施主体や基準設定について、各国の高等教育の特徴や歴史的経緯を含みつつ差異が見られる一方で、幾つかの類型を確認することができた。また、その内実と役割は、各種団体との関係性や取り巻く環境の変化を受けて変容しているものの、共通して卒後研修を含むより長期的な専門職開発を反映する形で進展しており、専門分野の機関横断性に加えて、専門職開発の経時的縦断性を踏まえてIR機能を捉える必要がある。これらの分析に加え、日本で試行された医学教育分野別認証評価についても分析を行い、アメリカ・ヨーロッパ・日本の多地点比較の枠組みを整理した。次年度はこの枠組みをもとに、海外事例の訪問調査を実施し、文献調査等では明らかに仕切れないIR機能の実態について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の計画通り、文献資料研究を通じたヨーロッパにおける機関別質保証と分野別質保証、及びIR機能の実態についての検討を実施することができた。また、得られた知見をより精緻化するために、研究対象の地域を拡大しオセアニア地域の状況を含めて研究を進めることができた。当初予定していた医学部設置大学に対する質問紙調査については、単なる意識差ではないより詳細な実態を把握するため、前年度計画した推進方策に基づき、個別事例の検討に切り替え、ミクロ的にアプローチを実施しており、研究全体としておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまでに得られた分析枠組み及び知見をもとに、海外事例の訪問調査を実施することにより、文献調査等では明らかにできない機関別質保証と分野別質保証の関係性、及びIR機能の実態についてアプローチする。それをもとに、アメリカ・ヨーロッパ・日本の三点比較をより精緻化するとともに、わが国の機関別・分野別質保証における内部質保証としてのIRの有機的・効果的なあり方と可能性について検討し、本研究で得られた知見をとりまとめ、学会報告や学会誌への投稿を通じて、研究成果を発信する。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究実施計画に基づき、ほぼ予定通りの予算を執行し、配分額の99.6%を執行した。物品の価格変動等により、配分額と執行額に若干の差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、海外現地調査のため、調査旅費を主要な費用として計上している。また、可能な限り各国・各地域における詳細あるいは最新の動向を研究成果に反映させるために、補完的な文献資料の調達を予算として計画している。加えて,本研究で得られた成果を広く社会へ発信するため,研究成果発表に係る国内旅費や校正等の費用を計上している。
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Research Products
(2 results)