2013 Fiscal Year Research-status Report
クラカウアーとアドルノの映像メディア論におけるオルタナティヴ・メディアへの志向
Project/Area Number |
25870152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹峰 義和 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20551609)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フランクフルト学派 / 映像 / メディア / アドルノ / クラカウアー |
Research Abstract |
本年度は、テオドール・W・アドルノおよびジークフリート・クラカウアーの映像メディア論における「大衆」と「公共性」をめぐる問題系について、同時代の社会的・思想史的・メディア史的なコンテクスト、とりわけ1920年代から30年代のドイツ映画とハリウッド映画との関連を踏まえながら検証する作業を中心に研究を進めた。くわえて、ヴァルター・ベンヤミンおよびポール・ド・マンによる〈媒体〉としての言語をめぐる思想について考察するなかで、そこに初期アドルノおよび中期クラカウアーのメディア論との接点を探る作業も平行して進めた。 具体的な成果としては、アドルノの映像メディア論に見られる「幽霊」という形象の思想的背景を検証したドイツ語論文「Beschwoerung der filmischen Gespenster. Zu Theodor W. Adornos Reflexionen ueber technische Medien」を執筆(ドイツで2015年に刊行予定の論文集(タイトル未定)に掲載予定)したほか、ベンヤミンの翻訳論における「越境」の概念についての発表をおこない、論文としてまとめた。さらに、関連する研究成果として、ポール・ド・マンのハインリッヒ・フォン・クライスト論についての論文1本、および、ヴァイマル時代に制作された精神分析学の啓蒙映画についての論文とナチス時代のドイツ映画のハリウッドとの交流関係についての論文を執筆・公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたドイツでの資料調査は実行することができなかったが、研究そのものは、アドルノにおける映像メディア論の思想的コンテクストを精査する作業を中心に、順調に進んだといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、昨年から継続しておこなっているアドルノおよびクラカウアーの映像メディア論の思想的コンテクストの検証作業を、とりわけ(1)ヴァルター・ベンヤミンの思想における「沈黙」「身振り」「遊戯」、(2)アレクサンダー・クルーゲの「経験」「歴史」「公共圏」との関連に注目しながら進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
意見交換をする予定だったコンスタンツ大学ベルント・シュティーグラー教授の都合で、春休みに予定していた出張をおこなうことができなくなったため。 研究資料の購入に充てる。
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Research Products
(6 results)