Outline of Annual Research Achievements |
1.最終年度は以下3つの調査を実施した。研究1:中規模会社2社の協力を得て職域日勤労働者の平日と休日の中間睡眠時刻(以下,"MSW","MSF")と社会的時差ボケ(以下"SJ”(Social jetlag))の実態調査を2回実施し計117名から回答を得て再現性を検討した。研究2:研究1で睡眠に問題ない参加希望者を募集し47名に7泊8日の活動量計測定調査と質問紙を実施し妥当性検討を行った。研究3:職域労働者におけるSJと健康影響の相関を調査するため,製造業A事業場で質問紙調査を行い,研究参加同意者の2014年度定期健康診断結果について提供を受けた。(対象者約2000名,同意者約1500名) 2.研究1/2: SJはMSWとMSFの差の絶対値と定義した。研究1:再現性検討では,MSW: r=0.89,MSF r=0.91, SJ:ρ= 0.714でいずれも1%未満で有意であった。研究2:妥当性検討ではMSW: r=0.89,MSF: r=0.74, SJ:ρ= 0.513でいずれも1%未満で有意であった。 3.研究3: SJを30分<(小群),30分<=,<150分(中群),150分<=(大群),の3群に分け,特性と健康影響との関連について分析した。特性では, SJが小さい方が,年齢が高く,夜型割合が低く,既婚・同居の高校生以下の子供有の割合が高く、平日睡眠時間が長く,休日睡眠時間は短く,平均睡眠時間は群間に差がなかった。健康影響との関連は小群を参照として比較した(性,年齢,勤務スケジュール,職位,BMI(肥満有病率の分析除く,朝型夜型,前月残業時間,平均睡眠時間で調整済み)。糖尿病,脂質異常症,高尿酸血症,肥満有病率はSJ中群で低下するU字型の分布をしていた。抑うつ症状(K6>=5点)は,大群で有意に有症率が高かった。 以上より、SJ大群は中群より有症率が高いことが分かった。小群では,基礎疾患でSJが小さい,疾患有する可能性の高い高年齢群でSJが小さくなる,ことが影響し,有病率がSJ中群より高くなった可能性がある。産業保健分野において社会的時差ボケの認知の重要性と予防対策の必要性を示唆することができたと考える。
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