2013 Fiscal Year Research-status Report
有機化学を基盤とした古細菌膜脂質分子の生合成および動態の解明
Project/Area Number |
25870381
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡辺 文太 京都大学, 化学研究所, 助教 (10544637)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 古細菌 / アーキア / 脂質 / 脂質プローブ / エーテル型リン脂質 |
Research Abstract |
平成25年度はゲラニルゲラニル基還元酵素の機能を解明することを目的とし、エーテル型リン脂質の合成を行った。以下に、その概略について述べる。市販のフィトールの水酸基を三臭化リンにより臭素化した後、水素化ナトリウム存在下で(S)-ソルケタールと縮合した。次に、ジオール部分の保護基を酸性加水分解により除去し、一級水酸基のみを亜リン酸トリメチル/四臭化炭素の反応系を用いて位置選択的に反応させ、リン酸トリエステルを得た。さらに、リン酸トリエステルのメチルエステル部分のみを臭素化トリメチルシリルを用いて選択的に加水分解して、目的とするエーテル型リン脂質へと導いた。現在、合成したエーテル型リン脂質を用い、ゲラニルゲラニル基還元酵素との複合体の作成に取り組んでいる。 今年度は、膜貫通型脂質生合成酵素探索のための脂質プローブ合成も開始した。α,ω-ジカルボン酸を水素化リチウムアルミニウムで還元してα,ω-ジオールとした後、一方の水酸基のみを臭化水素酸により臭素化した。次いで、残った水酸基をテトラヒドロピラニルエーテルで保護し、ナトリウムアセチリドを用いて臭素原子をエチニル基で置換した。さらに、水酸基の保護基を酸性加水分解により除去してメタンスルホン酸エステルに変換し、(S)-ソルケタールを原料に別途調製したグリセロール誘導体と縮合させることで、ω末端にエチニル基を有する目的化合物を合成した。今回確立した合成経路では、ナトリウムアセチリドのかわりにアジ化ナトリウムやシアン化ナトリウムを用いることで、アジド基やシアノ基を導入した脂質プローブを合成することが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的とする脂質分子の合成経路を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
脂質分子の合成をさらにすすめる。特に、蛍光発色団を導入したプローブの合成に注力する。また、合成した脂質分子を酵素や菌体を用いた実験に応用する。
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