2014 Fiscal Year Research-status Report
熱帯生態系保全とパームプランテーション経営を同時達成する残存林送粉サービスの評価
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25870462
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
近藤 俊明 広島大学, 国際協力研究科, 特任准教授 (40391106)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 送粉サービス / 生態系サービス / 熱帯雨林 / 生物資源管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーム油の世界的需要の高騰に伴うオイルパームプランテーションの拡大によって、豊かな生物多様性を育む東南アジアの熱帯林は急速に減少している。本研究課題の目的は、プランテーションに媒介昆虫として導入されるアフリカ産のゾウムシ(外来種)と、断片化した熱帯林のネットワーク形成に寄与するプランテーション内の残存林に生息する昆虫種(自生種)について、パーム種子生産への貢献度を比較することで、「残存生態系により提供される送粉サービス」を活用した持続的オイルパームプランテーション経営の実践、すなわち熱帯生態系保全とパーム油生産の同時達成ための科学的裏づけを行うことである。
平成26年度は、前年度にマレーシア国に設置した2ヶ所の調査地(一般的なプランテーションと河川にそって小規模な森林が残存するプランテーション)において、オイルパームの訪花昆虫種に関わるデータの収集を雨期・乾季・定常時に渡って継続的に行うとともに、遺伝解析等も利用して種子生産に関わる送粉者の特定を行った。
その結果、(1)パーム種子の生産に主に貢献しているのは外来種であるアフリカ産のゾウムシであること、(2)熱帯雨林が残存するプランテーションでは、コバエ類もパーム種子の生産に貢献していること、(3)アフリカ産ゾウムシはパーム種子に産卵するため、パーム種子の採取に伴って個体数の減少や近交弱勢による局所絶滅が生じ、種子生産量の低下が生じることなどが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、前年度にマレーシア国に設置した2ヶ所の調査地において、オイルパームの訪花昆虫種に関わるデータの収集を継続的に行うとともに、遺伝解析等も利用して種子生産に関わる送粉者の特定を行った。
これらの成果から、残存林に自生する昆虫種がパーム油生産量を向上させる種子(他殖に由来する成熟種子)の生産に寄与しているのか?また、アフリカ産ゾウムシの行動活性が低下する雨季において、残存林に自生する昆虫種はどの程度授粉に貢献できてているのか?といった疑問に答える研究結果が得られており、本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度にあたる平成27年度は、論文の出版を通して得られた研究成果を広く公表していく予定である。
現在、各国の機関や企業からなる「持続可能なパーム油のための円卓会議」による認証制度により、経済的付加価値を付けたパーム油の流通が開始されており、本研究課題で得られた成果の波及性は高いと言える。そのため、論文やプレスリリース、学会発表等を通じた積極的な情報発信に努める。
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