2013 Fiscal Year Research-status Report
正常プリオン蛋白質の銅イオン結合部位を介したプリオン病原性の決定メカニズムの解明
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25870479
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原 英之 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 特任助教 (40469953)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プリオン / リピート部位 / 構造変換 / 銅 / 神経変性 / クロイツフェルト・ヤコブ病 / 狂牛病 / スクレイピー |
Research Abstract |
プリオン病では、病原体「プリオン」が感染すると、宿主蛋白質である正常型プリオン蛋白質が凝集性の異常型プリオン蛋白質へ構造変換する。しかし、この変換メカニズムは不明である。51-90番目のアミノ酸領域(以下、OR部位)を欠損した正常型プリオン蛋白質には、あるプリオンの感染では変換しやすいが、他のプリオンの感染では感染しにくいという性質があり、これはプリオンによって構造変換のメカニズムが異なる可能性を示している。そこで本研究では、プリオン蛋白質の構造変換のメカニズムを解明することを目的とし、異なるプリオン感染時の構造変換におけるOR部位の役割を明らかにする。 まず、OR部位を欠損した遺伝子改変(Tg)マウスと野生型マウス(C57BL/6マウス)にプリオン感染を行い、プリオンの種類とOR部位の有無がプリオン病の病態進行(異常型プリオンの動態や空胞形成などの病理学的特徴)にどのように影響するのかを明らかにした。この結果、野生型マウスと比べてOR部位欠損マウスでは感染しやすいプリオン(RML、22L)と感染しにくいプリオン(福岡-1、BSE)が存在することを決定出来た。また、OR部位には、銅イオンが特異的に結合することが知られていることから、脳内の銅イオン濃度を変化させたマウスにプリオン感染を行い、プリオンの種類と銅イオンがプリオン病の病態進行にどのように影響するのかを検討した。この結果、高銅食を与えたマウスではプリオンの潜伏期間が延長されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4種類のプリオンを感染させたOR部位欠損マウスについてはプリオンの発症が確認され、各臓器の採材も終了した。 また、脳内の銅イオン濃度を変化させたマウスへのプリオン感染実験については、ようやくプリオンの発症が確認され始めてたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
4種類のプリオンを感染させたOR部位欠損マウスの臓器については採材が済んでいるので、今後はこれを用いて病理学的・生化学的解析を行う。 また、脳内の銅イオン濃度を変化させたマウスへのプリオン感染実験については、ようやくプリオンの発症が確認され始めたところなので、今後は随時採材を行い、病理学的・生化学的解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究試料(マウス・餌)費が当初見積もっていた額より安価に納入できたために、差額を翌年度に繰り越すこととした。 既にサンプリング済及びこれからサンプリングする予定のプリオン感染マウスの各臓器について、当初の予定通りの解析を行う。
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Research Products
(2 results)