2015 Fiscal Year Annual Research Report
多次元プロテオミクスを利用した染色体分配を司る新規因子の発見とその機能解析
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25870487
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
太田 信哉 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 特任助教 (00631194)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 染色体 / 分裂期 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、分裂期染色体を形作っている4,027種類の染色体タンパク質を同定し、10%程度の機能未知タンパク質が未だ存在することが分かった。さらに独自のアルゴリズムを用いた多次元プロテオミクスを考案し、有意義な染色体タンパク質だけを抽出することに成功した。その結果、高い確率で新規の機能的な染色体タンパク質を見いだすことができた。この中には、制御メカニズムの分かっていない分裂期の機構に関わるタンパク質も含まれているはずであり、それらは新規のがん原因遺伝子となる。 本研究により、新規の染色体タンパク質を複数同定した。そのうちCENP32、CSAPは、正確な細胞分裂維持機能を担っていることを発表した。具体的には、CENP-32は、星状微小管を正確に伸長させ、正常なBipolarスピンドルを形成するのに必須である。また、その欠失は星状微小管の伸長に異常をきたすことで、Anastralスピンドルの形成を促すことが分かった。CSAPは、スピンドル極周辺の微小管のうちポリグルタミン酸化修飾されたチューブリンに結合し、スピンドルを安定化させる機能を持つことが分かった。 その他の新規タンパク質については、その局在をGFPとの融合タンパク質の形で発現するプラスミドをヒト細胞に導入し、GFPのシグナルを観察することで確認した。その結果、3種類のタンパク質(Tweety1, AIR-0, MKT4と仮命名)は、非常に興味深い局在を示す完全に機能未知のタンパク質であることが分かった。しかし、その詳しい機能解析については未だ研究が完了しておらず、今後はこれらのタンパク質の機能解析を行い、どのように分裂期染色体の凝縮や分配機構に関わるかを探ることで、染色体分配制御機構のさらなる理解への貢献を目指す。
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