2013 Fiscal Year Research-status Report
ビスフォスフォネート関連顎骨壊死の病因解明と治療・予防方法の開発
Project/Area Number |
25870523
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
黒嶋 伸一郎 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (40443915)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 口腔外科学一般 / 免疫・感染・炎症 / 顎骨壊死 / ビスフォスフォネート製剤 / 抗がん剤 / 歯科補綴学 |
Research Abstract |
ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(Bisphosphonate-Related Osteonecrosis of the Jaw:BRONJ)は、ビスフォスフォネート(BP)製剤使用患者に起こる副作用の1つであるが、病因が不明なために確定的な治療法および予防方法が存在しない。BRONJ は通常の歯科治療を妨げ、患者のQOLを著しく低下させることから、病因の解明は急務である。 本研究の目的は、BRONJ の病因を解明し、治療方法または予防方法を見出すことにあるが、具体的には、1) In vivoによる検索と、2)In vitroによる検索を行い、病因を究明して治療方法開発の糸口を探る。 本年度はマウスONJモデルの作製を中心に行い、BP製剤(Zometa)と各種抗がん剤により、複数のONJモデル作製に成功した。この中で申請者は、1)ONJの発生頻度は、抗がん剤濃度依存性に高くなること、2)抗がん剤の種類により、ONJの発生頻度が異なること、ならびに3)抗がん剤の種類によりONJ領域の広がり方が異なることを明らかにした。実験の詳細に関しては、VC(コントロール群)n=10、ZA(BP製剤群)n=各10、抗がん剤A(濃度は3種類)n=各10、ZA+抗がん剤A(濃度は3種類)n=各10、抗がん剤B(濃度は3種類)n=各10、ZA+抗がん剤B(濃度は3種類)各n=10、の合計140の検体を採取済みであり、組織検索に向けて脱灰は既に完了し、MicroCT撮影も既に終了している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度申請者はビスフォスフォネート製剤と抗がん剤の組み合わせでONJモデルを複数作製することに成功し、140の検体を得ている。さらに各検体からは、抜歯部位を含む上顎骨、下顎骨、長管骨、リンパ節、脾臓など多くの臓器が採取され、固定保存、脱灰保存もしくは冷凍保存が完了している。 次年度にはこれらすべての臓器の詳細な検索を行い、BRONJの原因を明らかにする予定である。In vitroに関する研究は行われていないため、次年度から着手することになる。 上記のように、本年度はマウスONJモデルを確立したことが最大の研究進捗状況であるため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としてはまず初めに、 1)本年度に回収し、種々の薬剤で処理された各種臓器に対する薬剤の影響とONJの関連性を、組織形態学的検索、免疫組織化学的検索、マイクロCT解析(長管骨に対して)、遺伝レベルでの検索、ならびに血液データ解析を行って明らかにする。 2)各種薬剤処理された抜歯部位に対して、組織形態学的検索、免疫組織化学的検索、ならびにマイクロCTを用いた3次元的構造解析を行うことにより比較解析する。 以上から、ONJの決定的な原因となる所見を免疫異常の観点から追及する。 特に免疫組織化学的解析ではリンパ管内皮細胞に焦点を当て、ONJ領域における免疫応答機構がどのような変化を起こしているのかを明らかにする予定である。次いで、上記のin vivoの検索にて免疫応答機構に変化の生じている分子に焦点を当て、培養リンパ管内皮細胞と各種免疫担当細胞を用いたin vitroの検索を行い、各種薬剤存在下における細胞間相互作用を明らかにしていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に用いた主な薬品は、マウスに使用する各種BP製剤(経口、注射)、複数の抗がん剤、ならびにステロイド剤などであるが、これらは消費期限が短い薬剤であるために使用薬剤の長期保管が困難であり、常に新しい薬剤を必要とする。このため、年度末の薬品購入にあたり、微小な繰越金が発生したと考えられた。 繰り越された金額は、In vitroの検索で使用する抗癌剤の購入に充てる。
|
Research Products
(15 results)