2014 Fiscal Year Research-status Report
両大戦間期におけるトルコ共和国の国際協調外交と民主主義の相克
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25870749
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
宇野 陽子 津田塾大学, 学芸学部, 研究員 (60459310)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国外の調査研究(トルコ) / 国外の調査研究(イギリス) / 国外の調査研究(アメリカ) / 情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には、計画調書に記載した研究計画のうち、主としてトルコとイギリスにおける資料収集及びその読解・精査を行った。その過程で得た知見を主たる基礎として、論文1篇と2度の口頭発表として公表した。下記にその概要を記す。なお、今年度も引き続き関連資料の収集・精査を行うとともに、アメリカでの調査及び研究者との意見交換を図り、また、最終年度におけるまとめとしてそれらの研究成果の公表を行う所存である。 <調査> 2014年8月にトルコ(イスタンブル)及びイギリス(ロンドン)にて資料調査を行った。トルコではアタテュルク図書館及びイスラーム研究センター図書館、及び女性資料図書館で、ロンドンでは国立公文書館を中心に活動した。加えて、日本国内でもインターネット等を通じてトルコ議会議事録の閲覧を行った。 <公表> 論文(単著)「トルコ共和国政治史におけるイスタンブル・ゲズィ運動の位置:新たな政治的オルタナティヴへの模索」(『国際関係学研究』No. 41, 2015年, 45-58ページ)は、2013年5‐6月にイスタンブルで発生した市民の座り込み運動(通称「ゲズィ運動」)をトルコ共和国初期からの政治史に位置付けて論じた内容である。本研究課題のトルコ共和国初期における民主政治の問題を現代の政治状況との関連から検討した。口頭発表では、トルコ国民解放戦争期(1919-1923年)の委任統治受諾運動の内容とその後の関係者の政治への関与を通じて、解放戦争期の多様性が共和国初期の政権によって狭隘な国家主義に落とし込まれた具体的な状況を考察した。また、共和国初期に一時的に隆盛を見せた社会運動の一つであるフェミニズム運動を取り上げ、共和国初期の国家的課題である近代化への志向を共有していても、初代大統領アタテュルクの指導性や外交方針と合わなければ排除されるという、社会運動と政権の関係性について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
近年のトルコにおける資料電子化の流れによって、申請者が調査を行う図書館・資料館等でも一部の資料閲覧が長期にわたって不可能となっている。そのため、補助資料として類似の他資料を複数収集したり、その読解作業を行う必要が予定外に発生している。 また、同じくトルコにおける研究の活性化により、関連する研究書の出版が相次いでおり、この整理もまた予想外の膨大さになっている。整理作業に関しては新たに作業人員を求めるなどして対応する所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成27年度には、これまで収集した資料の最終的な整理とともに、成果の公表を積極的に行う所存である。また、本研究に不可欠なアメリカ国立公文書館での調査を行う。
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Causes of Carryover |
「現在までの達成度」記載の通り、資料整理や収集に予定外の時間を割くことになったことにより、当初計画していたアメリカ公文書館での調査を断念したことが主たる理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
整理のための人件費として使用することを計画している。また、平成26年度には断念したアメリカ公文書館での調査を行うとともに、トルコでは平成26年度訪問時に図書館の事情により閲覧できなかった資料を収集するべく再度の訪土を行うことで使用する予定である。
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