2015 Fiscal Year Annual Research Report
経鼻投与型機能性ペプチド修飾神経指向性ナノキャリアの開発と脳神経疾患治療への応用
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25870767
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
金沢 貴憲 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (60434015)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Nose-to-Brain / 高分子ミセル / 細胞透過性ペプチド / 脳内デリバリー / 脳虚血再灌流障害 / 脳血管障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、3種類の機能性ペプチド修飾ナノキャリアを合成し、それらの神経細胞への取り込み効率ならびに経鼻投与後の脳への送達効率について検討した。今年度は、脳神経系疾患治療への応用を目指し、脳神経疾患モデル動物を用いて、最も高い脳への送達効率を示した細胞透過性ペプチド修飾高分子ミセルナノキャリア(以下ナノキャリア)と経鼻投与を用いた脳内薬物デリバリー法による治療効果について検討した。 脳神経疾患には脳虚血再灌流障害を選択し、栓糸法により一過性中大脳動脈閉塞(t-MCAO)ラットを作製した。薬物には脳神経保護作用が期待されるシクロスポリンA(CsA)を用いた。再灌流前のt-MCAOラットに、CsA溶液およびCsA封入ナノキャリアを経鼻投与(CsA量として1 mg/kg)し、再灌流22時間後における脳の梗塞巣割合、浮腫による脳湿重量の変化率、脳組織内のTNF-α産生量および神経学的スコアを評価した。このとき、ポジティブコントロール群としてCsA溶液の腹腔内投与群(CsA量として10 mg/kg)についても検討した。その結果、未処置群に比べ、いずれのCsA投与群においても梗塞巣、TNF-α産生量、浮腫および神経学的スコアの著明な改善が認められ、特にCsA封入ナノキャリアの経鼻投与群では、ポジティブコントロール群であるCsA溶液の腹腔内投与群と同等以上の改善が見られた。 以上より、本研究で構築したナノキャリアと経鼻投与を用いた脳内薬物デリバリー法は脳虚血再灌流障害に対して有用な薬物治療法となる可能性が示された。
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Research Products
(7 results)