2014 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化する国際社会における国家責任の態様-EU原子力損害賠償法を参考として
Project/Area Number |
25870805
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
佐藤 智恵 明治大学, 法学部, 講師 (80611904)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際法 / EU環境法 / 越境損害 / 国家責任 / 国際法違反行為 / 原子力損害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、原発等の国際法違反でない行為が、周辺国に深刻な被害を与えた際の、責任主体、責任発生要件、損害賠償の対象に関し、グローバル化する国際社会に対応し得る共通規則を国際法とEU法を比較検討することにより明確にすることを目的とする。 2年目となる本年度は、前年度に引き続き、EUにおける原発による損害に関する責任主体、責任発生要件等の枠組について、加盟国の責任に関する規定及び実効性確保の制度を含めた精査を行った。 さらに、これまでの検討を踏まえ、第三段階として「グローバル化する国際社会に対応し得る共通規則」を提唱することを目標とした。原発以外による越境損害に関するEU法の規則及び判例を精査を続けた。特に、EUが制定している汚染者負担原則に関する環境責任指令の実施状況、判例の動向に重点を置いた。国際法の観点からは、国際環境法分野における汚染者負担原則を、国際法違反でない行為による損害の責任主体や責任発生要件等の1年目の研究成果と比較検討した。また、グローバル化する国際社会での国際法違反でない行為による越境損害に係る責任論を考えるにあたり、海洋環境汚染に関する法的枠組みが参考になるのではないか、との視点から、越境海洋汚染に関する法的枠組み、実施措置等について検討を進めた。 その結果、EUの環境責任指令が加盟国に義務付けている汚染者負担原則には、適用除外が認められる場合もあるが、国際環境法の分野でも汚染者負担原則は共通原則として認められつつあり、グローバル化する国際社会における国際法違反でない行為による越境損害に係る法的枠組みを提唱するにあたっては、重要ではないかと考察するに至った。
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