2013 Fiscal Year Research-status Report
多様な路面性状に対する2足歩行ロボットの適応歩行に関する研究
Project/Area Number |
25870819
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
姜 賢珍 早稲田大学, 理工学術院, 招聘研究員 (70625235)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 軟弱路面 / 脆弱路面 / 2足歩行ロボット / 路面モデル / 路面性状測定装置 / 路面性状 / 適応歩行 / ヒューマノイドロボット |
Research Abstract |
多様な路面性状に対する2足歩行ロボットの適応歩行を実現するため、まずは実環境下に存在する多様な路面に対して様々な路面の特性を調査した。制御に利用可能な工学的な路面のモデルがないため、剛体路面および軟弱路面など実環境下に存在する全路面が再現できるように路面の特徴パラメーターを決め、モデル化を行った。その際に、様々な路面が持つ細かい部分は排除し、共通的に持つ特性である弾性・粘性・塑性、この3つに分類した。 一般に、物質の粘弾性を扱うレオロジー分野では、粘弾性を複数持つ力学モデルとしてばねとダンパがよく用いられる。そこで、ばねとダンパを組み合わせたモデルを構築した。圧縮力と圧縮量および速度を分かると各係数が計算できると考えた。ばねとダンパを並列に配置したモデルは塑性を表現できないため、ダンパをもう一層重ねる形で再現できるようにした。X、Y、Z軸とRoll、Pitch、Yaw回転軸に対してもを考慮し、最終的に3次元の路面立体モデルを構築した。 また、考案した路面の力学モデルを検証や軟弱路面における適応歩行制御に導入する際に必要であるパラメーターを測定するための路面性状測定装置を開発した。2足歩行ロボットの足部にある6軸力覚センサを中心にX、Y方向に各々2等分し、計4つのセンサを装着した。ロボットが歩行する際に足が受ける力を基に目標耐荷重を800[N]と設定した。Z軸方向に力が加える時、回転モーメントを防ぐために、リニアブッシュやガイドラインを作った。足型センサにA/D変換回路基盤を付着し、データを転送する際のノイズの影響を小さくした。路面性状測定装置は全長800[mm]X580[mm]X720[mm]、重量200[kg]である。 考案した路面のモデルを用いて、脚接地面における路面の変形に応じて変形した足首の姿勢角を修正する手法で高さ35[mm]のスポンジでの歩行に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題である『多様な路面性状に対する2足歩行ロボットの適応歩行に関する研究』を実現するため、2足歩行ロボットの適応制御に利用可能な工学的な路面のモデルがないことから、まずは実環境下に存在する多様な路面に対して様々な路面の特性を調査を行った。剛体路面および軟弱路面など実環境下に存在する全路面が再現できるように路面の特徴パラメーターを決め、モデル化を行った。様々な路面が共通的に持つ特性である弾性・粘性・塑性を用いて路面のモデルを考案し、そのパラメーターを再現するためにばねとダンパを組み合わせたモデルを構築した。 また、ダンパモデルに下にばねとダンパを並列に配置し、2層のモデルで塑性も再現できるようにした。X、Y、Z軸とRoll、Pitch、Yaw回転軸に対してもを考慮し、最終的に3次元の路面立体モデルを構築した。 また、考案した路面の力学モデルを検証や軟弱路面における適応歩行制御に導入する際に必要であるパラメーターを測定するための路面性状測定装置を開発した。2足歩行ロボットの足部にある6軸力覚センサを中心に4分割にし、各々ばねセンサと赤外線センサを組み合わせたセンサを装着した。2足歩行ロボットが常に歩行する際に受ける床反力を基に目標耐荷重を設定した。 開発した路面性状測定装置を用いて、考案した路面のモデルの妥当性の検証実験を行った。その結果、路面測定装置の足型センサ4つの合計値と6軸力覚センサの値がかなり近いことを確認した。圧縮実験より、速度による反力の明確な変化が確認され、粘性に対しても有効性が検証できた。 軟弱路面に対する適応歩行を実現するため、脚接地面における路面の変形に応じて変形した足首の姿勢角を修正する手法で変形量が少ないほぼ硬い高さ35[mm]のスポンジでの歩行に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに脚接地面における路面の変形に応じて変形した足首の姿勢角を修正する手法で高さ35[mm]のスポンジでの歩行に成功したが、現状の制御では変形量が大きい路面では補償しきれない。そこで、今後は軟弱路面における人の歩行運動について計測・分析を行う。モーションキャプチャシステムと床反力計を用いて人の歩行動作を計測する。スポンジや人工芝など確保しやすい軟弱路面上における直線運動の他、旋回運動や障害物回避など様々な動作の計測を行い、軟弱路面で歩く際に体がどんな姿勢をするのか、また、脚は路面に対してどう適応するのかなど、人の動作を分析しつつ、ロボットの姿勢も比較し、対策を構築する。 そして、分析した軟弱路面における人の歩行戦略を2足歩行ロボットに実装し、検証実験を行い、開発した制御手法の有効性を確認する。屋内での軟弱路面における適応歩行に成功すれば、ロボットを屋外に持って行き、実際の多様な路面における歩行実験を行う。考案した路面のモデルと開発した路面適応制御の有効性を確認する。しかし、屋内での軟弱路面における歩行が実現できなかった場合、ロボットの挙動と人の運動の分析結果を再比較し、人の歩行動作のモデルに修正を加え、軟弱路面に対する適応歩行を実現する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は製作や実験装置の購入より、軟弱路面における2足歩行ロボットの適応歩行の実現の第一歩として、研究の仮説を立って、それを検証するなど、理論的に側面で研究を進めてきた。また、路面性状測定装置は既存にあったものに対してハードウェアの改良を行うより、装置の概念原理を見直し、路面性状測定装置の制御方法を改良した。そのため、当初計画していた使用額より少なくなった。 次年度からは今年度構築したシステムを基に軟弱路面における2足歩行ロボットの適応歩行を実現するため、軟弱路面での人の歩行運動の計測・解析を行う計画である。その際にデータを分析する高性能のコンピュータを購入する。また、軟弱路面における適応制御は先行研究が大変少ないため、評価実験の際に、ロボットが突然発散してしまう可能性がある。従って開発した制御手法について実機を用いて実験するには危険性が高いため、シミュレータと小型の2足ヒューマノイドロボットを購入し、予備実験及び開発した制御の事前研究実験を行う予定である。 また、より研究を進行させるために1回/2ヵ月日本に出張し、2足歩行ロボットの研究者たちと会議や実験を行う。
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