2013 Fiscal Year Research-status Report
日本ユネスコ関係史研究(1951-2012)―戦後国際文化交流の展開における日本
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25870830
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
齋川 貴嗣 早稲田大学, 付置研究所, 助手 (30635404)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ユネスコ / 国際文化交流 / 文化外交 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第二次大戦後に成立したユネスコに対する日本政府及び社会の関わりを歴史的に検討することで、戦後国際文化交流の展開を明らかにするとともに、今後の日本のユネスコ外交、さらにはユネスコの今後のあり方を考える一助とすることにある。具体的には、第一に、加盟から現在に至る日本・ユネスコ関係の史実を明らかにし、歴史的な反省を可能にする土台を構築することで、ユネスコに対する日本の今後の取り組みに一定の示唆を与える。第二に、多様な活動を通して第二次大戦後の国際文化交流を推進してきたユネスコにおいて、日本はどのように認識され、評価されてきたのかを実証的に明らかにする。そして第三に、グローバルな冷戦の下でユネスコが構築してきた戦後国際文化関係において、日本がいかなる役割を果たしてきたのかを明らかにする。 以上の目的に照らして、本年度の研究実績として主に三点指摘することができる。第一に、英語圏およびフランス語圏のユネスコ関係文献を渉猟することで、先行研究の現状を把握することができた。特に、これまでのユネスコ研究において日本をはじめとした非西洋諸国との関係がほとんど論じられていないことを確認できた点は重要である。第二に、研究代表者は、ユネスコの前身である国際連盟知的協力国際員会に関する博士論文をハイデルベルク大学に提出し、博士号の授与が決定した。この博士論文によって、戦前との連続性と断続性という視点から日本・ユネスコ関係史を分析する視点を得た。第三に、ヨーロッパにおいて本研究に関する意見交換を行った。具体的には、バーゼル大学ヨーロッパ研究所所長Madeleine Herren教授、ハイデルベルク大学中国学研究所所長Barbara Mittler教授、同大学Roland Wenzlhuemer教授から、特にグローバル・ヒストリーとしてユネスコを描く意義について示唆に富むコメントを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施計画ではパリのユネスコ史料館における史料調査を予定していたが、研究代表者が博士論文の提出とその後の口頭試問の準備に集中したため、実施することができなかった。ただし、本研究の分析枠組みに関わる上記三点の重要な成果を得ることができた。本研究において、史料調査と理論的分析枠組みの検討は唇歯輔車の関係にある。史料調査から分析枠組みの検討という想定していた前後関係が逆転したが、これによってより的を絞った史料調査を行うことができると考える。こうした理由から、本研究は概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、本年度に実施できなかったユネスコ史料館での調査を早急に行う。これについては、2014年9月に3、4週間の予定で実施すべく準備を進めている。第二には、研究実施計画通り、台北の中央研究院近代史研究所档案館において史料調査を行う。特に、1949年のユネスコ東京代表部の設置に関わった郭有守、李熙謀に関する外交文書を集中的に調査する。そして第三に、日本人の元ユネスコ職員に対するインタビューも実施したい。ただし、この点については先方の都合もあるため、実施を遅らせる可能性もある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度中にユネスコ史料館での調査を実施できなかったため。 2014年9月にユネスコ史料館での調査を実施する予定であり、その費用に充てる。
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