2013 Fiscal Year Research-status Report
2000年代フランスにおける「ポスト構造主義以後」の存在論とその国際的受容の研究
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25870914
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
千葉 雅也 立命館大学, 先端総合学術研究科, 准教授 (70646372)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポスト構造主義 / 存在論 / 思弁的実在論 / メイヤスー / ハーマン / ドゥルーズ |
Research Abstract |
2013年度は、ポスト構造主義以後の存在論の特徴として「関係」の「切断=無関係化」という論点に注目し、クァンタン・メイヤスーやグレアム・ハーマンらによる「思弁」哲学の状況、いわゆる「思弁的実在論Speculative Realism, SR」に関する文献読解を行った。まず、6月に台北で開催された「Asian Frontiers Forum: Questions Concerning Life and Technology after 311」および「The First International International Deleuze Studies in Asia Conference」に参加し、ドゥルーズ(&ガタリ)における「切断」の概念を因果関係の切断として解釈することで、メイヤスーらの議論へ橋渡しする解釈を提示した。この機会に国内外の研究者から意見を得ることで錬成されたメイヤスー/ハーマン解釈を、単著『動きすぎてはいけない──ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』に含め、10月に刊行した。以後、本書に関する対談や解説により、国内においてポスト構造主義以後(ないしポスト・ポスト構造主義)をめぐる関心の活性化に努めた。次年度は、上記SRに対する精神分析的解釈(SRに対する「欲望」の解釈)を行う予定であり、予備考察を12月に東京大学で開催されたシンポジウム「フィクションと出来事」において発表した。以上の過程において、関連する資料の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
台北での英語発表、単著の刊行は予定に沿って達成され、また12月に行った東京大学での発表は、次年度の研究の着火点になるものである。加えて『現代思想』誌の2014年1月号では「ポスト・ポスト構造主義」の特集企画に関わり、国内の哲学研究の状況に一石を投じることができたと考えている。当初、本年度はメイヤスー氏に面会するための渡仏を予定していたが、単著刊行に注力したため、延期されることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、思弁的実在論(SR)に対する精神分析的解釈を軸とした単著を刊行する計画である。その過程で、海外の研究機関へ渡航し、ポスト構造主義以後の存在論をめぐる国際的な関心の有り様を調査する予定である。また、本研究では、最終年度において、ポスト構造主義以後の観点から芸術・文化研究の状況を検討することを計画しているが、そのための調査・文献収集を次年度から着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、単著のとりまとめに注力し、海外での研究打ち合わせを次年度以後に延期した。また、単著を土台としての考察によって今後調査するべき資料の状況を改めて整理した。次年度から資料収集を本格化する予定である。 海外においてポスト構造主義およびそれ以後の状況に関連する議論や文化・芸術表現を調査することを予定しており、旅費を支出する。クァンタン・メイヤスー氏との面会を計画している。また、存在論・形而上学に関する文献、および、ポスト構造主義以後という観点による文化理論に関連する文献を広く収集する。
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Research Products
(9 results)