2014 Fiscal Year Research-status Report
2000年代フランスにおける「ポスト構造主義以後」の存在論とその国際的受容の研究
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25870914
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
千葉 雅也 立命館大学, 先端総合学術研究科, 准教授 (70646372)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポスト構造主義 / 存在論 / 思弁的実在論 / 新しい唯物論 / メイヤスー / ドゥルーズ / 国際情報交換(フランス) |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、クァンタン・メイヤスー『有限性の後で』の翻訳を進めながら、メイヤスーら「思弁的実在論」とかつてのポスト構造主義(ジル・ドゥルーズなど)との関係、および「新しい唯物論 New Materialism」と呼ばれる人文学の状況について、文献読解を行い、かつ紹介活動にも努めた。6月には、大阪大学で開かれた「The 2nd International Deleuze Studies in Asia Conference」に参加し、本研究にとって主導的な観念である「無関係」をめぐる問いの一環として、ドゥルーズにおける他者の位置づけについて再検討した。同月、パリにてメイヤスー氏と面会し、「偶然性」など氏の主要なテーマについて説明を得た。また、パリ第4大学で行われた「Theatre, Performance, Philosophy Conference 2014」に参加し、現代において哲学を「いかに語るか」の可能性を多様に考える議論に触れると共に、登壇者の一人であったカトリーヌ・マラブー氏と意見交換を行うこともできた。年度の後半には、『現代思想』誌2015年1月号での特集「現代思想の新展開──思弁的実在論と新しい唯物論」に関わり、本研究で調査を行っている国際的な論況について概説を提示した。ほかにも、紹介活動の役割をもたせた研究発表を行ってきた。同時に、「無関係」論を背景とした文化研究の試みも発表してきた(文学に関する考察など)。国内において、「ポスト・ポスト構造主義」と呼びうる段階への関心は、アートや建築など様々な領域で高まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に予定していたメイヤスー氏との面会は本年度に行われることになった。本年度後半は、国内での研究・紹介活動に集中したため、当初予定されていたマラブー氏らとの議論は、本格的な形では、次年度に行われる予定である。最終年度である次年度には、本研究を総合した単著を刊行するため、執筆を進めている。また、「思弁的実在論」「新しい唯物論」に関して国内の議論がしだいに活性化していることは、『10+1 website』2015年2月の特集「空間からエレメントへ──ニュー・マテリアリズムの現在」などからも確認できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度には、思弁的実在論と新しい唯物論に関し、精神分析的解釈を含めて考察する単著を刊行する予定である。海外活動としては、現時点では10月に台湾での英語発表が決定しており、また、年度後半にマラブー氏が所属するキングストン大学での議論・発表を計画している。また、ポスト構造主義以後の観点から芸術・文化研究の状況を検討することも、継続して行われる。
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Causes of Carryover |
本年度は、国内発表の依頼を多く受けたことにより、海外での調査・発表が延期されたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、海外渡航の予定を再整理し、英語での発表のために旅費を支出する予定である。また、単著刊行のための文献購入に加え、ポスト構造主義以後の観点からの芸術・文化研究へと進むため、視聴覚資料の購入も行う予定である。
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Research Products
(6 results)