2014 Fiscal Year Research-status Report
フェロモン源探索行動のモデル化に基づく新しい探索アルゴリズムの開発
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25870915
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
小林 亮太 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 助教 (70549237)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 知能情報学 / 探索アルゴリズム / 最適化 / 機械学習 / シミュレーション / 確率過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物は時々やってくる匂い情報を頼りに匂い源に到達できる.例えば,オスのカイコガはフェロモンを頼りにメス (フェロモン源) まで効率的に到達することが知られている.このような高度な探索行動を実現するアルゴリズムを提案できれば,情報工学と生物学に同時に貢献できるだろう.本研究課題では,探索者 (昆虫) が時々流れてくるフェロモンを頼りにフェロモン源を探索する問題を考える.この問題は簡単に見えるが,フェロモンの拡散領域から外れると目標に到達できなくなる。早く確実に目標にたどり着くためには高度なアルゴリズムを必要とする. 平成26年度は本探索課題を考察するための理論およびシミュレーション基盤の整備を進めた.フェロモン飛散のモデルとして,ランダムウォークモデルを仮定し,シミュレーションを行うことにより探索者の行動戦略の違いが探索にかかる時間の分布へ与える影響を調べた.受動的行動戦略では,フェロモン源から少しずれてしまうと探索に非常に多くの時間がかかることが明らかになった.この成果は人工知能学会全国大会において発表予定である (小林, Lansky 2015). また本課題で用いるベイズ時系列解析技術の神経データマイニングへの応用として,単一神経細胞膜電位データから生理実験で用いる刺激が興奮性,抑制性シナプス入力へ与える影響を調べるためのデータ解析手法を開発した.モルモットの聴覚野から計測された膜電位データに開発手法を適用して,トーン刺激がシナプス入力へ与える影響を調べ,学術論文として発表した (Kobayashi, He and Lansky, Frontiers in Computational Neuroscience 2015).本成果は、神経回路がどのような仕組みによって情報処理を実現しているかを研究する上で必要となる技術である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フェロモン源探索問題の理論およびシミュレーション基盤の整備は当初計画に比べて若干の遅れがあるが、神経データマイニングアルゴリズムについての成果を国際学術誌で発表できた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度も引き続きフェロモン源探索問題の理論およびシミュレーション基盤の整備を進める.また,フェロモン源探索を行っている実験研究者との連携を検討する.
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Causes of Carryover |
フェロモン源探索問題の理論およびシミュレーション基盤の整備において,当初計画に比べて若干の遅れが生じたため.人件費,謝金は執筆した論文の英文校閲費用に使うことを予定していたが,平成26年度には本課題について論文を執筆する段階まで研究を進めることができなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
共同研究を進めている研究者との研究打ち合わせおよび研究成果を発表するための旅費および物品購入に使用し,当初計画通りに研究を遂行することを目指す.また,人件費,謝金は英文校閲費,その他の項目として学術論文の投稿料および掲載費に執行することを予定している.
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