2014 Fiscal Year Research-status Report
ネットいじめの生起と対応に関する心理的諸要因の解明
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25870960
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
金綱 知征 甲子園大学, 人間科学系, 准教授 (50524518)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ネットいじめ被害リスク認知 / ネットいじめ被害不安 / ネットいじめ被害予防意識 / 匿名性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、青年期後期の若者を対象とした質問紙調査によって、ネットいじめの生起と対応に関する心理的諸要因の解明を目的とし、平成25~27年度の3年の調査期間内に、1.ネットいじめ事象に関する一般的な理解と態度、2.ネットいじめ被害に対する心理的諸要因(リスク認知、被害不安、被害予防意識)、3.ネットいじめ加害に対する心理的諸要因(リスク認知、匿名性信念)の3点を明らかとし、相互関連性を検討するものである。平成26年度研究実施計画における主な目的は、1.平成25年度実施調査の結果の分析と考察、2.ネットいじめ被害及び加害に対する心理的諸要因を測定するための尺度の作成、3.青年期後期の若者を対象とした調査の実施、4.調査によって得られた結果の分析と考察の4点であった。以下、目的ごとに研究成果を報告する。 1.ネットいじめの被害経験を有するものは2~3%と先行研究と比較しても少数であった。一方、20~35%の者はネットいじめ被害の目撃経験を有していたことから、ネットいじめの存在事態は確認された。ネットいじめの様相については、多くが同学年やクラスメートによって行われていること、被害者に対する否定的感情が加害動機となっており被害の責任帰属が被害者に向けられていることなど、従来型のいじめの特徴と多くが類似していることが示された。 2.ネットいじめ被害及び加害に関する心理的諸要因(被害リスク認知、被害不安、匿名性信念、被害予防意識)を測定する5件法尺度を用いた質問紙を作成。 3.平成26年9~10月に大学1~4回生30人を対象に予備調査を実施。質問紙の一部改訂の後、平成26年11月~平成27年3月に高校生200人、大学生300人を対象に本調査を実施した。 4.本調査の結果は現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度研究実施計画における主な目的は、1.平成25年度実施調査の結果の分析と考察、2.ネットいじめ被害及び加害に対する心理的諸要因を測定するための尺度の作成、3.青年期後期の若者を対象とした調査の実施、4.調査によって得られた結果の分析と考察の4点であった。このうち、1.の平成25年度実施調査の結果の分析は、昨年度実施計画に含まれるものであったが、平成26年度上半期に一定の分析を終え、国内外の学会にて成果報告するに至った。また2.の質問紙作成、3.の作成した質問紙を用いた調査の実施についても、ほぼ計画通り進めることができたことから、概ね順調に進展していると考えられる。しかしながら、当該年度調査において当初計画していたサンプル数を確保できなかったことから、平成27年度も調査を継続する計画である。4.の収集したデータの分析と結果の考察についても、現在既存データを用いて進行中であるが、平成27年度の継続調査によって得られる予定のデータも加えた上で、最終的な結果をまとめる予定である。なお平成26年度実施調査の成果報告については、平成27年度内の国内外の学会にて報告する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度研究実施計画はおおむね順調に進展していたが、調査の実施過程において当初計画していたサンプル数を確保することができなかったことから、今後の研究の推進方策として、先ずは平成27年度も調査を継続するよう研究計画を変更し、十分なサンプル数の確保に努める。現在調査協力校と調査実施方法等について検討をしている。 十分なサンプル数を確保した上で、平成27年度実施計画である平成25年度調査、 平成26年度調査の各結果を統合し、ネットいじめに関する心理的諸要因の相互関連性についての多変量解析モデルの検討を進めたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、平成26年度調査においてサンプル数が実施計画を下回ったことで、データ入力作業等のアルバイト雇用費としての支出を予定していた人件費・謝金相当分が次年度使用額となったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度分請求助成金と合わせた次年度使用額の品目別使用計画は、平成27年度に実施予定の追加調査で用いる質問紙印刷製本及び収集データの入力作業等のアルバイト雇用費に充てられる予定である。
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Research Products
(6 results)