2015 Fiscal Year Annual Research Report
天然化合物特異的モノクローナル抗体による生薬成分の標的分子解明
Project/Area Number |
25871011
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
宇都 拓洋 長崎国際大学, 薬学部, 講師 (90469396)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | モノクローナル抗体 / 天然化合物 / 生薬 / 標的分子 / ケミカルバイオロジー / リクイリチン / フラボノイド / ベルベリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、天然化合物特異的モノクローナル抗体(MAb)をツールとして、生薬成分の細胞内蓄積や局在分布、そして標的分子に至るまでの生薬成分のダイナミックな全体挙動を解析することを目的としている。前年度までに、オウゴンの主要活性成分であるバイカレインの細胞内挙動および標的分子の解析を行い、天然化合物特異的MAbによる解析の有用性を証明している。最終年度は、MAbによる解析を他の生薬成分へと展開した。 ①甘草フラボノイドのリクイリチン (LQ) とそのアグリコンであるリクイリチゲニン (LQG) が、B16メラノーマ細胞においてメラニン合成誘導活性を持つことを見出し、LQおよびLQGはTyr、TRP-1、TRP-2の発現を高めることでメラニン合成を促進していることを明らかにした。抗LQ/LQG-MAbを用いた競合的ELISAの結果、LQおよびLQGは細胞内に多く取り込まれずに細胞膜表面のレセプター等に関与していると考えられた。さらに抗LQ/LQG-MAbを一次抗体としたWestern Blottingの結果、35-38kDa付近にLQ結合タンパク質のバンドが検出された。これはp38、ERK、CREBがリン酸化された時間と一致していことから、LQ結合タンパク質のメラニン誘導機構への関与が示唆された。 ②オウバクやオウレンの主要活性成分であるベルベリン (BBR) が、ヒト白血病細胞HL-60においてCaspase-8を介したCaspase-3活性化によりアポトーシスを惹起することを見出した。BBRの細胞内取り込みを抗BBR-MAbを用いた競合的ELISAにより解析したところ、BBRは処理後ただちに細胞内に蓄積し、ERKおよびp38のリン酸化を誘導することが明らかとなった。一方、本MAbを一次抗体としたWestern BlottingではBBRの標的分子の検出は出来なかったことから、認識部位の異なるMAbでの解析等の必要性が示唆された。
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