2015 Fiscal Year Annual Research Report
長期土壌残留性汚染物質の時間経過に伴う生物利用可能性変化の評価
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25871036
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
酒井 美月 長野工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50418688)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | POPs / 残留性有機汚染物質 / エイジング / 逐次抽出 / アベイラビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
高い残留性を持つために長く土壌に蓄積する物質について、生物への影響を「アベイラビリティ=利用可能性」という指標で表し、全量濃度によらない、実際に移行可能性のある部分を選択的に抽出する分析手法(抽出法)とマッチングさせることでその動態と、土壌のリスクを正確に評価するための要因を把握することを目的とした。対象とする物質は残留性有機汚染物質(POPs)である。 これまでの結果から、土壌の土性、物質の物性(Kow,水溶解度)などがアベイラビリティに影響し、選択抽出における抽出効率、すなわち土壌と物質の吸着強度を変えていることを明らかにした。最終年度はこれまで把握の難しかったエイジング(散布からの時間経過)について、散布された土壌が流出、堆積したものである河川底質のコア試料を用いた解析を行い、エイジングの影響を把握することを試みた。 堆積年代の特定されている底質コア試料を用い、選択抽出(部分・逐次抽出)を行うことで試料からの物質の抽出量を変化させ、「物質の経時変化に伴う抽出されにくさ」を「エージングによるアベイラビリティの低下」にマッチングさせた。対象としたPOPsの物性、とくにKowにより、エイジングによる抽出効率は一様の傾向を示さず、その傾向は少なくとも3種のパターンに分類された。選択抽出に用いる溶媒の極性をKowにあわせ分析を行う必要があることが示唆された。また、POPsのように土壌吸着の強い物質については、初期(散布直後)の土壌中の濃度減衰が大きく、圃場でのエイジングによる土壌吸着強度変化が底質に保存されている堆積年代時の土壌吸着強度変化と必ずしも同時に議論できないことが考えられる。以上の検討結果から、総合的に土性、物性、エイジングの3要素をアベイラビリティに考慮した場合、現状のリスクを把握するための選択抽出において大きな要因となるのは土性によるものであると結論付けられた。
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Research Products
(3 results)