2015 Fiscal Year Annual Research Report
創薬分野における産学連携システムの空白領域検証と、新規事業モデルの創出研究
Project/Area Number |
25871070
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Research Institution | National Institute of Science and Technology Policy |
Principal Investigator |
新村 和久 文部科学省科学技術・学術政策研究所, 第3調査研究グループ, 上席研究官 (30649223)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 産学連携 / 知的財産権 / 技術移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
アカデミア発創薬における知財戦略を考える際に、実際に上市されている分子標的抗がん剤を対象に、特許権・契約・文献・企業ニュースリリース・技術移転に関する情報を抽出し、大学からの技術移転の変遷のデータ解析を実施した。この結果、アカデミアの特許権が直接最終製品に包含される可能性が極めて低く、ベンチャー企業・大企業において構築された特許権が独占排他権を構築していることを明らかとし、日本知財学会での学会発表を行った。これは、アカデミアにおいて上市後の独占排他権を構築する特許権を構築することが困難であることが考えられる。 この検証のため特許権の明細書作成上の問題点に着目して、特許事務所勤務弁理士へのアンケート調査を行った結果、アカデミアの明細書作成において必ずしも大企業よりも明細書における質の低さを感じていないことを明らかとし、日本知財学会にて発表を行った。この結果から、上市後の製品にアカデミアの特許権が含まれていない点は、アカデミアでの特許権の質の問題ではなく、アカデミアから企業への技術移転を経た後に、企業が独自の特許権を構築している為と考えられる。 これらの結果を踏まえ、アカデミアが特許権を取得する意義、およびどのような特許権が技術移転が行われるのかを考察する為、東京大学とライフサイエンス特許権とライセンス情報の関連性を解析した。この解析によりライセンスが成立しやすい技術分野、および契約条件についての知見を得て、日本MOT学会にて発表を行った。 上記の結果より、大半のアカデミアにおいて特許収支が赤字であることから改善の必要性が言及されている特許出願のあり方を明らかとし、現在論文を執筆中。
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