2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25871084
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Research Institution | Toyo Institute of Food Technology |
Principal Investigator |
井土 良一 公益財団法人東洋食品研究所, その他部局等, 研究員 (20442585)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポモル酸 / 五環性トリテルペン / 含水エタノール抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
柿果実は栄養素が豊富に含まれ、健康維持効果が期待できるが、摂取による効能はあまり解明されていない。また、柿果皮は干し柿加工時に大量に廃棄されているが、体によいとされる成分(カロテノイドやポリフェノールなど)が果肉以上に豊富に含まれており、機能性食品素材としての利用が期待できる。我々は前年度までに、3T3-L1由来脂肪細胞に対して脂肪蓄積抑制作用を示す‘平核無’果皮アセトン抽出画分中の成分が、コレステロールに似た構造を持つ五環性トリテルペンの一種のポモル酸であることを見出している。 本年度はラットを用いて投与効果を調査するために、柿果皮からポモル酸の精製を行った。ピーラーで剥いて集めた‘平核無’果皮約15 kgから、純度95%以上のポモル酸を1 g回収した。このポモル酸を0.01%添加した粉末餌を1週間投与したところ、摂餌量には影響しないことが分かった。 安全に食品利用できる柿果皮抽出物を製造するために、抽出溶媒に水とエタノールだけを用いて検討した。柿果皮に含まれるポモル酸と、その他の五環性トリテルペン類(オレアノール酸、ウルソール酸)は、エタノール濃度が低いと抽出され難くなった。しかし、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどを添加して強アルカリ条件にすることで、エタノール濃度が低くても、良く抽出されるようになることが分かった。また、五環性トリテルペン類は、乾燥させたカキ果皮を食用油に浸漬するだけで簡単に抽出できることも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ポモル酸は標品の入手が困難なため、柿果皮から精製する必要があった。しかし、抽出、精製作業に想定よりも時間が必要となった。それによって、予定していた動物実験の開始が遅れてしまい、年度内に完了させることができなかった。以上の理由より、やや遅くれていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
【動物への投与試験】0.01%ポモル酸を添加した飼料はラットの摂餌量に影響しないという予備試験の結果に基づき、ポモル酸を0.01%添加した高脂肪/高コレステロール飼料を10週間自由摂取させ、血中の生化学指標や組織の遺伝子発現の変化などから、肥満などに対するポモル酸の効果について明らかにする。 【食品利用法の検討】柿果皮は固く、そのままでは食べにくいという問題を改善するために、有効成分を含有する抽出物製造や、加工方法について調査を行う。食品利用可能な抽出方法については26年度に検討した。27年度は、調理における加圧、加熱処理あるいは酵素処理等によって、果皮を利用しやすい性状に変換できるか、処理によって有効成分は分解されないか等を調査する。
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Research Products
(2 results)