2014 Fiscal Year Research-status Report
津波塩害防止と農地復興を同時に達成するための塩水管理制御システムの開発
Project/Area Number |
25871100
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
中矢 哲郎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所・水利工学研究領域, 主任研究員 (60414447)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 農地復旧 / 津波 / 塩害 / 海水侵入 / 地下水 / 淡塩境界 / SCADA |
Outline of Annual Research Achievements |
地盤沈下にともなう海水侵入や排水機場復旧の遅れ等により塩害長期化が継続する東日本大震災津波被災農地において、25年度に設置した地下水観測孔を活用し,灌漑期における地下水塩分濃度の変化を、連続モニタリングおよび,定期的な現地計測により把握した. 現地の塩水侵入対策手法として、圃場内外の水田や貯水池から地下に淡水を供給することで海側からの塩水侵入を抑制したうえで、畑エリアのみ強制的に暗渠を通じてポンプで排水を行う、圃場貯水-ブロック排水手法の現地への導入に向けて、25年度に作成した非定常地下水流解析モデルを用い地下塩水侵入状況を詳細に解析し、陸域での具体的な貯水域,排水域の配置の影響を明らかにした。 この圃場貯水-ブロック排水手法をSCADA(監視制御データ収集)システムにより再現するためのプロトタイプ小型模型を作成した。作成したシステムは、沿岸低平地の循環灌漑を対象としており、まず高架水槽の水位が低下したら一定水位になるまで圃場貯水池からポンプアップし、水田内水位をモニタリングしながら自動給水する。畑地は、地下水位が一定水位より下がった場合に自動給水を行う。さらに,地下水は地下排水升から暗渠を通じポンプにより強制排水を行う。また圃場レベルでの排水のコントロールができるように排水路にもゲートを設け、地下だけでなく地表水のブロック排水も行う。これらの過程をプロトタイプ模型により再現することで、現地への導入を考慮した場合でも安価かつ簡易に再現できることを確認した。 これらの手法を現地に適用することにより,排水機場の大幅な機能向上を伴わずに常時地下水位を下げることで汎用農地化や高付加価値のある営農が実現すると同時に、圃場周辺に豊かな水域を確保し環境の保全、調和を図ることができる。よって,沿岸域の地盤沈下地域の塩水の影響が懸念される農地の復旧手法として適用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の中心であった,SCADAによる広域に分散する監視制御箇所をSCADAにより統合し,塩水侵入・農地塩害を抑制可能な遠隔監視制御システムのプロトタイプを作成することが、予定どおり実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度に作成したSCADAシステムのプロトタイプに、省電力での遠隔制御が可能な排水ゲート等の追加を行い、システム全体の長期的な監視制御データの収集を通じて開発したシステムの運転安定性や、塩水の制御機能、監視画面の見やすさ等を試験する。また現地での塩水侵入状況の調査を継続することで、復旧状況を考慮したシステムの改良と最適化を行う。
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Causes of Carryover |
現地における塩分状況調査の日程が延期となったため、予定していた現地調査に係る旅費について残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き現地調査を行うため、残額を合算して使用する。
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Research Products
(2 results)