2013 Fiscal Year Research-status Report
マルチプローブとシミュレーションによる固体アルカリ形電解質のアニオン伝導機構解明
Project/Area Number |
25871142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 健一 独立行政法人理化学研究所, 放射光科学総合研究センター, 専任研究員 (90344390)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超イオン伝導 / 放射光 |
Research Abstract |
AxMO2 (A: アルカリ金属、M: 遷移金属)系層状酸化物の一つであるNaxCoO2は、電子伝導を担うCoO2アニオン層とイオン伝導を担うNaカチオン層が交互に積層した構造を有している。Naの量を制御することによって、電子伝導体から混合伝導体までの輸送特性を示す。本研究では、Na0.69CoO2に対して、高温での水素還元処理と室温での水和処理を施すことによって、超イオン伝導体となることを、交流インピーダンス測定で見出した。その超イオン伝導性の発現メカニズムを明らかにするために、SPring-8の物質科学ビームラインBL44B2において、その2段階化学処理を施しながら精度の高いX線粉末回折パターンを測定できるin situキャピラリーセルを開発した。そのセルを使って、化学処理中の構造変化をRietveld法により明らかにした。具体的には、還元相としてCoOが生成されると同時に、約10%程度の欠陥がNa0.69CoO2のCoサイトにできることがわかった。これが、CoO2アニオン相が電子伝導性の抑制に関与していると考えられる。一方、イオン伝導性性発現には、その後の水和処理によるNa+とH3O+とのイオン交換が関わっていることを、電子密度解析とラマン分光を組み合わせることにより明らかになった。また、そのイオン交換サイトのみ、Na層内でディスオーダーしていることが電子密度分布で観測されたことから、H3O+はイオン伝導キャリアとして振る舞っていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in situ放射光回折、ラマン分光、交流インピーダンス法のマルチプローブを活用して、したイオン伝導性発現と構造との関連を明らかにするという当初の予定を、達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
超イオン伝導相と電子伝導相の構造を、電子密度分布から得られる静電ポテンシャルや電場ベクトルで比較することにより、イオン伝導パスを可視化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入を予定していた実験データ解析及びシミュレーション用ワークステーション一式よりも安価な解析用ノートPC一式(解析ソフト、結晶構造データベース)が必要となり購入したため。 シミュレーション用ソフト、バンド計算ソフト、構造可視化ソフト等のソフト一式を購入する。
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Research Products
(7 results)