2013 Fiscal Year Annual Research Report
湿潤変動帯における台風頻度が斜面崩壊の規模-頻度と土砂生産に与える影響の評価
Project/Area Number |
25882037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 仁 関東学院大学, 経済学部, 講師 (00709628)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 斜面崩壊 / 日本列島 / 湿潤変動帯 / 大雨 / 規模-頻度 / 台風 |
Research Abstract |
研究目的を達成するために平成25年度に行った研究は、以下のようにまとめられる。 湿潤変動帯に位置する日本列島では、降雨に起因する斜面崩壊が頻繁に発生している。これまで、雨量強度‐降雨継続時間などの雨量指標と斜面崩壊の発生との関係を解析する研究は数多く行われてきたが、斜面崩壊の規模-頻度との関係に着目した研究は多くない。そこで本研究では、斜面崩壊の発生と降水量との関係を、斜面崩壊の規模に着目して解析した。具体的には、2001年~2011年に降雨で発生した4,744件の斜面崩壊を対象とした。一連の降雨の開始から斜面崩壊が発生するまでの、累積雨量(mm)、最大時間雨量(mm/h)、平均雨量強度(mm/h)、降雨継続時間(h)を解析雨量(気象庁)より計算した。本研究において、一連の降雨は、24時間の無降水継続時間で区切られる降雨イベントである。 その結果、規模が大きい斜面崩壊ほど、累積雨量、最大時間雨量、平均雨量強度が大きくなることが明らかになった。特に、累積雨量 205~270 mm、最大時間雨量 33~45 mm/h、平均雨量強度 4 mm/hを超えると、規模の大きな斜面崩壊の頻度が大きくなる傾向が明らかになった。さらに、台風の寄与は最大で約40%であった。また、雨量が増加するほど斜面崩壊の頻度と総崩壊量が増加するが、その関係は非線形であり、両者は一致しないことが示された。つまり現在の気候下において、斜面崩壊の頻度・総侵食量を最大にする降雨が存在することが示唆された。(Saito et al., 2014, 投稿中)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、湿潤変動帯である日本列島と台湾を対象として、台風頻度が斜面崩壊の規模-頻度と山地における土砂生産に与える影響を、広域的に明らかにすることである。現在までに、日本列島全域を対象として、斜面崩壊の規模-頻度と降水量との関係を、台風頻度に着目して解析中である。よって、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、斜面崩壊の規模-頻度と降水量、台風頻度との関係を、より詳細に解析する計画である。具体的には、地域性、季節性などの解析である。また台湾も対象とし、土砂生産量との関係も解析する計画である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Japan's Sediment Flux to the Pacific Ocean Revisited2014
Author(s)
Korup, O., Hayakawa, Y. S., Codilean, A., Matsushi, Y., Saito, H., Oguchi, T., and Matsuzaki, H.,
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Journal Title
Earth-Science Reviews
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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