2013 Fiscal Year Annual Research Report
祥瑞災異思想の六朝以降の展開と社会受容―天文五行占を中心として―
Project/Area Number |
25884003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 聡 東北大学, 東北アジア研究センター, 専門研究員 (60704963)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 祥瑞災異思想 / 天文五行占 / 術数学 / 鬼神観 / 社会文化史 / 社会通念 / 怪異 / テキスト問題 |
Research Abstract |
初年度は、天文五行占書を中心に、国内は国立公文書館、京都大学人文科学研究所、京都府立総合資料館、大将軍八神社方徳殿など、海外は復旦大学図書館、浙江図書館、南京市図書館などで調査を実施し、同時に関連資料の収集にも努めた。なお日本中国学会第二回次世代シンポジウムにて、本研究課題にかかる問題提起を行い(「術数文献をめぐるテキスト問題―天文五行占書を中心に―」秋田大学、10月14日)、この点を念頭に現地調査を実施した。目下、調査成果を踏まえ、テキストの基礎的整理・検討を進めている。 国家レベルの天文五行占書としては『観象玩占』『乾象新書』『乾象通鑑』などを中心に、調査・研究を行ったが、特に『乾象通鑑』の伝本につき、復旦大学所蔵本に、他の伝本にはない蕉林逸史「補輯乾象通鑑序」及び南宋高宗の御製序を写した「高宗御製原序」などが見つかり、従来不明であった成立背景や伝来状況を検討する余地が出てきた。本資料については、目下、整理を進めているが、追加調査の必要や未調査の伝本(26年度調査実施予定)もあり、これらの調査所見と合わせて、今後成果をまとめてゆく予定である。 また、一方で、国家レベルとは異なる視点から書かれた『禮緯含文嘉』の調査も実施した。本書は中村璋八氏により台湾国家図書館本が紹介されたことがあったが、この台湾本は三巻中第一巻を欠いていた。しかし最近、本書の足本が浙江図書館に所蔵されることを知り、今回の調査でその全貌が明らかとなった。本書は天文占・五行占を中心とするものの、国家レベルのものとは性格が異なる。また通俗的内容も含まれるなど、在野の術数家により書かれた可能性も窺える。今後、本書の検討を通じて、在野を含めた祥瑞災異思想のより広い社会受容の解明に繋げたい。本書は伝本間で字句の異同が多く、さらに節略本や異本も見つかっており、26年度の追加調査実施後に成果をまとめてゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天文五行占書の現地調査については、順調に実施できている。その一方で、現地調査で新たな知見を得たことや新資料なども見つかっており、従来不明であった成立背景や伝来状況を検討する余地も出てきたと言える。これにより追加調査や補足調査の必要も出て来ているため、適宜スケジュールを調整して実施してゆく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、研究の進展により、追加調査・補足調査の必要が出て来ているため、当初26年度に予定していた調査内容に適宜調整を加えて、実施してゆく。調査対象の殆どが未刊行資料であり、また天文五行占書特融のテキスト問題も分かってきていることから、基礎的整理・研究は現地調査と並行して進めてゆくが、最終的な見解や成果は、調査により伝本群の全体を把握した上で、総合的視点からまとめ、発表してゆく予定である。
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Research Products
(1 results)