2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25884043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 新也 大阪大学, 文学研究科, 研究員 (00713538)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 近世ベトナム / 村落史 / 地方文書 / 碑文 / 地域史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は夏期(2014年8月21日~9月20日)及び冬期(2014年12月22日~2015年1月4日)にかけてベトナム・バクニン省のゾイテー集落を中心に調査を行った。また夏期の調査において17世紀中頃のゾイテー集落における有力者であった張曰貴なる人物が、15世紀黎朝の創建に貢献し、その武人貴族化していった清化集団の一員である張雷の末裔であることが判明したため、冬期調査では、ゾイテー集落以外の張雷の子孫が残る集落に調査範囲を拡大し、フンイエン省のニュークイン集落、バクニン省のドンイエン集落、タムタオ集落などにおいても野外調査を行った。これらの調査の結果、以下の事を明らかにした。ゾイテー集落はもともと15世紀に張雷の親族が入植することにより成立した田庄(荘園)の一つであったが、17世紀初頭には張族による田庄経営は崩壊したと考えられる。しかしこれにより張族は完全に没落したわけではなく、これ以降も集落の徴税請負人として影響力を維持し続けていたと考えられる。張曰貴も17世紀中頃にゾイテー集落の徴税権を購入しており、さらに集落内には彼を祀ったデン(神社)が20世紀初頭まで存在していた。これは祖先神として張族のみが祀っていたものではなく、集落全体で彼を村の守護神ないし恩人として祀っていたとのことである。これらは清化貴族集団の紅河デルタに移住した後に次第に土着化していく過程を示す事例であると言える。またニュークイン集落の張族は18世紀初頭には黎朝の実権を掌握していた鄭氏の外戚となっており、紅河デルタへの移住から2世紀を経たのちも、清化貴族が依然として大きな勢力を持っていたことを示している。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)