2013 Fiscal Year Annual Research Report
モノからみる芸能文化のグローバル化―バリの仮面と楽器を事例として
Project/Area Number |
25884096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
吉田 ゆか子 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 機関研究員 (00700931)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 芸能文化 / グローバル化 / 物質文化 / バリ / 日本 |
Research Abstract |
【現地調査】一年目の本年度は、日本国内の団体を対象とした調査を中心に活動した。特に都内の3チームを訪れ、練習に見学・参加した他、主宰者や主要メンバーへの聞き取りを行った。 調査項目は:(a)各上演団体の概要と歴史や現在力を入れている活動内容。(b)所有している(或いはかつてしていた)仮面と楽器について種類と歴史。入手経路や発注・制作プロセス、作成年、作者、制作時の儀礼の有無等。(c)それらのモノの移動および収納の方法や場所(d)所有する(していた)仮面や楽器に対する儀礼の有無、定期・不定期に供えられる供物の内容。(e)仮面や楽器に対する思い入れや愛着。(f)仮面や楽器の維持・修理の方法や加工の履歴。 上記の調査項目について、大分情報が集まってきた。どのチームも所有する(していた)楽器と仮面について他チームとの細かな違いを意識し、愛着を寄せている。楽器や仮面を部分的に自作する事例もあった。都市部に特有の問題もある。楽器は一つ一つが重くまた場所をとる上、演奏はかなり大音量となる。各チームは、周囲と騒音トラブルを起こさない環境や、練習場に隣接した十分な収納スペースの確保などに気を使う。 バリでは楽器や仮面は多かれ少なかれ神格と結びつくものとして扱われる。この信仰(kepercayaan)とでも呼べる態度は、日本の場合、神道や仏教の宗教実践とも緩やかに結びつきつつ、日本の都市の物理的環境にも影響されながら、うっすら「信仰らしきもの」として存在していることを示す興味深い事象がいくつか観察された。これらのデータをまとめつつ、来年度の調査計画を立てた。 【文献調査】芸能のグローバル化に関連する先行研究に目を通した。また、反対に芸能を特定の地域と結びつける「文化遺産化」に関わる先行研究に対し、本研究との関連性を検討している。加えてウェッブ上での諸外国のガムラン・チームの活動状況の把握に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の調査は一年目に想定していた範囲は無事に終えることができ、来年度の国内調査の予定はほぼたったため。四国での調査は日程上一年目に実施することができなかったが、代わりに関西のチームの情報が集まってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度はこれまでの国内調査を継続し特に夏季の主要な上演に同行し調査する。国内調査のデータをまとめ、年度内に研究会などで一度成果を発表し、他の研究者の意見を仰ぐことを目標とする。 国内調査に加え、北米、香港、でも同様の調査を実施する。香港に関しては事前情報が乏しいため、まずは活動状況の把握につとめる。北米調査は4月を予定していたが、10月以降に変更する予定である。 また6月中旬~7月中旬にインドネシアに滞在し、国際学会に参加しつつ海外のバリ芸能研究者と情報交換する。その他、バリの芸術祭における外国人たちのパフォーマンスを観察・記録し、主要なチームにインタビューの機会を設ける予定である。また海外でバリ芸能を教えた経験のあるバリ人芸能家たちへのインタビューも行う。インドネシア国内のバリ以外の州で活動するバリ芸能集団の情報を収集し、可能であれば現地での観察およびインタビューを行う(調査項目は日本国内調査に準ずる)。なお調査以外の期間中は、文献調査も継続する。
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