2013 Fiscal Year Annual Research Report
教育人権を保障する教育財政の原理と制度に関する研究
Project/Area Number |
25885119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Teikyo Junior College |
Principal Investigator |
田中 秀佳 帝京短期大学, その他部局等, 講師 (00709090)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 国際人権法解釈 / 教育財政原理 |
Research Abstract |
平成25年度において、第一に、教育人権に関する海外文献、資料の収集をおこない、社会権規約、子どもの権利条約における教育原理、教育の無償概念、国際人権法における締約国に対する義務規定を整理した。それを踏まえ、日本教育法学会において「国際人権法における教育の漸進的無償化-日本政府による社会権規約第13条2項への留保撤回の意義-」と題して報告をおこない、その内容は招待論文として、2014年3月刊行の日本教育法学会年報第43号に掲載された。本論文は、わが国における今後の教育費政策において必要とされる法制度を論ずる際、国際人権法の国内における実質化、国内法と国際法規範との整合性といった点に関して、理論的貢献をしうるものであり、また無償教育の内容・範囲を整理したことによって、教育課程論の分野においても理論的提起をするものである。この他、研究成果について、日本教育学会、日本教育制度学会においても報告をおこない、各領域の専門家らとの研究交流をはかった。 第二に、スイス・ジュネーブにおいて定期的に開催されている子どもの権利委員会の締約国の報告審査(対象国はロシア、ポルトガル、ドイツ)を傍聴した。2016年にわが国が審査対象国となるにあたり、審査に際して研究者やNGOがどのような点を、どのように論点化し、子どもの権利委員会に事前報告をおこなうかが決定的に重要となるため、今回の傍聴内容について、研究協力者の世取山洋介氏をはじめとする教育法研究者らとともに、同委員会の委員の権利保障に対するスタンス、会議における論点の特徴を今後分析し、わが国の審査における論点を次年度以降整理していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画について計画をやや上回る形で進めることが出来た点は、国連文書に関する資料調査、収集、およびその整理と分析である。これについては、現段階でまとめたものを既に学会報告し、論文化したところであるが、引き続き最新の資料、文献の収集を進め、さらなる整理・分析を予定している。一方、研究実施計画において、国内の資料・文献収集および調査については、日程調整の関係上、十分に進めることが出来なかった。平成26年度はまず国内研究を優先的に進めるべく計画を立てていく予定である。また、所属先の変更に伴い、研究に必要な備品等の購入が必要となったため、その点についても26年度の早い段階で研究環境整備をおこなう。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、研究遂行に必要なプリンタ、スキャナ等の備品の購入をおこなう。続いて、教育費運動に関する史資料の調査・収集とその整理をおこない、教育の無償性を保障する教育財政システムの事例研究を複数箇所でおこなう。具体的には、京都府与謝郡、広島県広島市・三原市、長崎県香焼町、北海道稚内市のいずれか複数の地域の調査をおこなう。また、国際人権法に関する研究を前年度に引き続きおこない、2016年のわが国に対する子どもの権利委員会審査報告に向けた政策分析と論点整理をおこなう。
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Research Products
(4 results)