2013 Fiscal Year Annual Research Report
石礫河川における水と河床粒子の運動および河床構造に及ぼす粒度分布と粒子形状の効果
Project/Area Number |
25889050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
福田 朝生 中央大学, 公私立大学の部局等, 助教 (00709694)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 数値移動床水路 / 石礫河川 / 粒度分布 / 粒子形状 / 河床構造 / 粒子衝突 / 流体力 / 粒子体積割合 |
Research Abstract |
平成25年度では,40mmから120mmの5種類の粒径の石礫粒子群を用い水路長15m,水路幅1mの水路を用いて,数値移動床実験を実施した.この数値移動床実験結果の流れは射流であり,数値河床では反砂堆が形成された.この数値実験結果の分析より,計測することが困難な水と粒子群の運動が明らかとなり,石礫河川の土砂移動機構を理解する上で重要な知見を得た.以下に得られた成果を示す. 解析した石礫粒子や水面,流線,粒子に作用する流体力及び石礫間の接触力を三次元的に描画し,動画を作成することで水と粒子運動及び力の作用状況が,三次元的に理解できるようになった. 粒子群が移動する際の粒子衝突により生じる接触力について計測し,衝突時に作用する接触力の向きについて大きな粒子と小さな粒子の違いを明らかにした.これより,大きな粒子ほど衝突時に鉛直上向きの接触力を受けることが明かとなった.このような粒径毎の力の向きの差により,大きな粒子は河床の上部を移動することが明かとなった. 粒子の分級により大きな粒子が集団化している地点と集団化していない地点について流速の鉛直分布について調べた.その結果,大きな粒子が集団化していない地点では,対数分布則に近い流速分布になっているが,大きな粒子が河床表層で集団化している地点では,大きな粒子が流れに抵抗するため,対数側から大きくずれ,河床から鉛直上向きに緩やかに増加する流速分布となることが明かとなった. 小さな粒子は,停止時に作用する流体力が減少傾向にあるのに対し,大きな粒子は停止時に流体力の減少を顕著には示さなかった.この結果より,小さな粒子は大きな粒子の遮蔽域で停止するのに対し,大きな粒子は,河床表層の上部を移動するため遮蔽域が無く,河床に露出して静止する他の大きな粒子との衝突によって停止することが示唆される.これより,粒径毎に停止機構が異なることが明かとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の大きな課題は,水と粒子運動および河床構造に及ぼす粒度分布および粒子形状の効果を明らかにすることである.初年度としては,粒子の移動形態,粒子に作用する粒子間の接触力や流体力について粒径毎の差を明確にすることが出来た.また,分級した河床上で流速分布を計測し,河床材料粒径によって異なる流速分布の特性を明らかにした.これより,水と粒子運動及び河床構造に及ぼす粒度分布の効果に関する理解は大きく進展し,初年度としては,研究は概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では,40mmから120mmの粒子を用いた混合粒径移動床の数値実験を実施した.平成26年度は,最小粒径は,10mm程度,最大粒径は120mm程度の粒度分布とし,より小さな粒子が土砂移動に及ぼす効果を検討する.小さな粒子を考慮する場合,より高い解像度の解析が必要となるため,広範囲を解析することが難しい.一方,解析領域を小さくすると上下流端影響が水と粒子運動を大きく規定するため,境界条件の設定が難しくなる.上下流端の境界条件の設定が困難な場合は,必要に応じて周期境界条件を適用し,小さな領域の解析を可能とする.数値実験結果から大きな粒子と小さな粒子が衝突時に受ける粒子間の接触力,流体力を計測する.分級前後の河床について粒子の体積割合や平均粒径の鉛直分布を計測し,分級後の河床構造の内部構造や河床表層の空隙の状態を明らかにする.分級や分級による微地形が形成される前後の各大きさの粒子の流砂量,移動経路,流れの変化を明らかにし,微地形が粒子運動や水流に及ぼす効果を明らかにする.粒子運動及び河床構造の考察から,分級が生じる機構および分級によって河床が安定化する機構を明らかにする. 石礫河川の粒子形状の実態を明らかにするため,現地河川の粒子群について長径,中径,短径を計測し,形状指数を用いて,実河川の粒子形状を把握する.粒子運動および河床構造に及ぼす粒子形状の効果を明確にするため,まず,形状の基準として球を用い,球粒子を用いた数値移動床実験を実施する.球粒子と石礫粒子の数値実験結果の比較から,粒子形状が粒子の運動機構,河床構造に及ぼす効果を明らかにする.また,実河川の粒子形状の分布,本研究における球と石礫粒子をモデルとした数値移動床実験の結果を踏まえ,実河川の粒子運動に及ぼす粒子形状の効果を明らかにする.
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Research Products
(3 results)