2013 Fiscal Year Annual Research Report
新型出生前診断に直面した女性の自己決定を支える看護:一般女性のニーズからの検討
Project/Area Number |
25893281
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
片田 千尋 兵庫医療大学, 看護学部, 助教 (10708556)
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Project Period (FY) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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Keywords | 出生前診断 / 自己決定 / 女性 / 周産期 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年4月から新型出生前診断の臨床研究が開始され、出生前診断の選択肢が増えている。よって、女性が出生前診断に関する正確な知識を持ち、受検について自己決定できるよう支援することが必要である。そのために、まずは受け手である女性の出生前診断の捉え方や受検の意向等について明らかにすることを目的に本研究を行った。 研究方法はウェブを用いた質問紙調査であり、ウェブ調査会社の登録会員200万人のうち20~49歳の非妊娠女性に依頼し、承諾した1588名のうち、完全回答が得られた1576名を対象とした。質問紙は先行文献をもとに作成し、χ2検定、t検定、ロジスティック回帰分析にて分析した。 対象の平均年齢は35.8±7.8SDであり、「現在妊娠中と仮定すると、出生前診断を受検したいか」との設問に対しては、受検したい者が55.3%、受検したくない者が22.7%、意思決定ができていない者が22.0%であった。意思決定ができていない者は、意思決定できている者に対し、先天異常をもつ者と接した経験が有意に少なく、意思決定の際にパートナーや医療者の意見を自己の意見より重視する者が有意に多かった。また、出産経験者676名のうち、出生前診断の受検経験があると回答したのは8.6%のみであった。 出生前診断の受検の有無を意思決定できていない女性は、先天異常をもつ者と接した経験が乏しく、意思決定の際に他者の意見を重視する傾向にあることが明らかとなった。また、日本ではほぼ全妊婦が妊婦健診にて超音波検査を受検しているが、出産経験者の大半は超音波検査を出生前診断の1つであると認識せずに受検しており、受検の有無を意思決定する必要性を認識する機会をもっていないという現状が明らかとなった。したがって、本研究の成果をもとに、出生前診断の受検の有無について女性が自己決定できるための支援方法を検討することが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年11月、兵庫医療大学倫理審査委員会において、質問紙の見直しを行うよう指摘を受けた。そのため、生涯学の研究者や産科医、臨床遺伝専門医、障害児の親からヒアリング等を実施し、質問紙を再検討するとともに、回答後の対象者への偏見予防の補足説明文を作成した。その結果、調査時期が平成26年5月に延期となった。調査実施後は順調に研究が進行し、平成26年7月までにデータ分析を終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究成果を国際学会にて発表するとともに成果をまとめ、学術雑誌への投稿を行う。 また、本研究を通して、出産経験のある女性の多くが超音波検査を出生前診断の1つであると認識せずに受検しており、4割の女性が自己より他者の意見を重視して受検の意思決定を行うことが明らかになった。そのため、女性だけでなくパートナーも対象として調査を行い、カップルの意思決定について明らかにする必要があると考えた。したがって、超音波検査を受検した女性とそのパートナーにインタビューを行い、妊婦健診における超音波検査の捉え方について明らかにし、支援方法を検討することが次年度の課題である。
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Research Products
(1 results)